相模屋食料が救済企業の再建スピード向上、絶好調な木綿豆腐はライン増設で対応/鳥越淳司社長インタビュー

相模屋食料・鳥越淳司社長
豆腐の販売動向は天候要因が大きいと言われている中で、「ひとり鍋」シリーズや「おだしがしみたきざみあげ」など、天候に左右されない商品を生み出し続けている相模屋食料。また、植物性食の関心の高まり、東京五輪を控え、オリジナル商品「BEYONDTOFU」も一層注目を浴びそうだ。

さらに同社は、豆腐メーカーの事業継続支援にも注力し、早期再建を果たしている。鳥越淳司社長に、2019年度の回顧、今後の展望を聞いた。

――2019年度(2月期)を振り返って

グループ全体で売上高280億円に到達する見込みだ。昨年にグループ入りした京都タンパク(京都)、丸山商店(福岡)の売上も含んでいるが、その他のグループ企業の売上も伸長した。豆腐メーカーの事業継続支援活動を8年続けてきて、再建企業の部分が大きくなってきている。

2019年度は、京都タンパクの再建に全力を投じた。京都タンパクは、7月から再建活動を開始し、11年間赤字が続いていた企業だったが、何とか5カ月で黒字化できた。

あとは、9月にグループ化した丸山商店が黒字化できれば、グループ企業の全てで黒字化を果たせる。もう一息だ。

――単価下落が厳しい関西の豆腐市場ですが、そのような中、京都タンパクを早期黒字化できた背景は

当社グループでは、ほとんど低価格品はやっていない。もともと近畿では、そこまでシェアが高くないため、量を追うのではなく、強みの部分を追求している。

通常であれば、M&Aで買収した側、された側では、どこかで主従関係のようになってしまうが、当社グループでは、救済企業を主役とし、相模屋食料本体はサポートに徹しているため、自然と融合できているのではないか。

今後も、救済の依頼があれば、全力で取り組む。言い過ぎかもしれないが、再建に必要な目利きは出来るようになってきている。

――具体的な商品動向は

「おだしがしみたきざみあげ」は、発売から2年経たずに、累計出荷数1,000万パックを突破した。砕いてお好み焼きのつなぎとしての利用して頂くなど、油揚げの使い方として想像できなかった使い方が広がっている。

このほか、「焼いておいしい絹厚揚げ」「煮込んでおいしい絹厚揚げ」も定番化しており、順調だ。

油揚げは、生産が間に合わない状況だったことから、2018年に2ライン増設して対応した。

「ひとり鍋」シリーズについても、鍋商材が振るわない中で好調だ。今期も前年対比130%と、伸長した。

――絹・木綿は

木綿豆腐が絶好調だ。3個パックも好調だが、1丁の方が良い動きを示している。2020年度は木綿のラインを新たに増設する。

暖冬の影響を受けたのは市場がシュリンクしている充てん豆腐のみで、絹豆腐も前年実績を維持している。

長年注力している焼豆腐は、2019年末の25日~30日の間、グループ全体で126万丁を出荷した。国産大豆使用商品は、出荷に占める割合が8割弱と、比率が上昇している。

――植物性100%でベーシックな豆腐の枠を超えた「BEYONDTOFU」などは

プラントベースドフード(植物性食)が全盛に向かっている中、まだ伸びしろがある。「BEYONDTOFU」は今年、展開を広めるべく新商品を発売する。

〈大豆油糧日報2020年3月6日付〉