かどや製油、2021年3月期はごま油で数量3.3%増、金額で約3%増目指す

かどや製油は6月5日、ウェブ決算説明会を開き、決算概要のほか、久米敦司社長が長期ビジョンや中期経営計画などについて説明した。20年3月期決算は、売上高前期比1.7%減の337億8,100万円、営業利益22.5%減の32億5,500万円、経常利益21.8%減の34億6,200万円と減収減益だった。

ごま油の販売数量は4.0%減少した。家庭用は7月1日から実施の値上げの影響で販売数量減少となり、家庭用の販売数量は7.4%減、販売価格は0.3%減となった。業務用は600gペット製品の家庭用市場での販売が引き続き伸長したものの、値上げ、消費増税により既存ユーザーへの販売数量が減少した。

これにより、業務用の販売数量は6.5%減、販売価格は4.9%増となった。輸出用は販促実施により、北米・欧州向けで販売が増加、新規顧客との取引開始により販売数量は7.1%増、販売価格も4.4%増となった。

食品ごまの販売数量は1.9%減少した。家庭用は積極的な拡売、新規導入により販売数量、販売金額ともに増加。業務用は値上げにより販売金額が増加した。値上げによる一部ユーザーの納入休止、消費増税による外食需要減少などにより販売数量は減少した。

2021年3月期の事業計画では、ごま油濃口の新規導入先を拡充し、メニュー提案を強化することで、ごま油の需要拡大を図る。業務用は、加工ユーザー、外食、総菜などへ引き続き注力し、新規獲得によるボリュームアップを狙う。安易な値下げは見合わせ、シェアダウンしないように採算性を見極めた販売で対応していく。

したがって、ごま油では販売数量3.3%増、売上高約3.0%増を目指す。食品ごまではカタギ食品の持つ有機ごまやセサミリッチなどの高付加価値商品を生かし、数量、金額ともにボリュームアップを図っていく。全体の売上高は3.6%増の350億円とした。

〈中計スローガン「ONEKadoya 2025」、かどやファンの底上げ図る〉
久米社長による長期ビジョンの説明では、策定の背景が示され、同社にとっては、17年秋のカタギ食品のグループ化、20年春の袖ヶ浦工場の稼働など、第二の創業にふさわしいということから、グループ長期ビジョン「変革と挑戦!健康と笑顔を届けるNo.1を目指す!」の策定に取り組んだとした。

同ビジョンには、「常に変革への意識を持ち、時代が求める新たな価値を創造する。お客様、株主、ビジネスパートナー、地域社会、従業員など全てのステークホルダーに喜んでもらえるNo.1の存在でありたい。一人ひとりが『自ら考え、動き、発信する』企業風土を創り上げたい」といった思いを込めたとしている。

中計のスローガンは、「ONEKadoya 2025」とした。「ごま一筋、グループ/役職員一丸、グローバルでのごまの総合力No.1、働きがいや充実感を一番感じる職場など、多くのONEの思いを込めた。ONEチームONEかどやで頑張っていきたい」とした。

事業戦略では、袖ヶ浦工場の稼働による生産能力の向上を踏まえ、本年5月に従来の販売本部を2つに分割し、国内事業本部と海外事業本部とした。「内外の地域戦略をより強化していくことを意識した。国内では、こだわり、伝統の味に磨きをかけるとともに、マーケティングや取引先への提案型営業を強化し、かどやファンの底上げを図っていく」とする。海外事業では北米を中心に販売を強化し、欧州や東南アジアなどの市場開拓にも力を注いでいくとした。

商品開発では生活様式の変化や健康ニーズの高まりを踏まえ、トクホをはじめ、新しい価値、新商品の開発に注力していく。販売チャンネルについても、「通信販売のラインアップの見直し、充実とともに、通販・ECの運営体制の強化も図っていきたい」とした。

食品ごまについては、「カタギ食品とかどや製油の連携強化を図り、お互いの強みを生かしながら、業務の効率化を追求していく。今年度は営業、具体的には取引先への共同展開や顧客紹介、クロスセールなど商品開発の両面で連携体制を構築していく」とした。

〈大豆油糧日報2020年6月9日付〉