三重県桑名市の小杉食品はこのほど、粉末納豆調味料「粘りっ粉(ねばりっこ)」を同社ECサイトで販売開始した。サラサラの粉末状で常温保存が可能なため、お弁当やアウトドアなど今まで納豆が使いにくかったシーンでも活用できる、まさに「持ち運べる納豆」だ。

創業88年の老舗納豆メーカーの小杉食品は、通常の納豆の3倍量のたれ(同社比)を添付し、糸切れが良くさらっと食べられるとして納豆が苦手な人や子どもにも好評な「おちびさん つゆだく」などを主力に、東海地域を中心として一部関西や関東にも展開している。近年は、納豆の使用頻度の上昇や、ノンユーザーにも納豆を食べてほしいとの思いから、納豆の加工品の開発・販売も強化している。

小杉食品は2020年9月、納豆の需要増加を受け、本社工場の近くに増設工場を完成させた。そこで、納豆と納豆以外の食材を組み合わせた新たな製品も開発しようと2次加工室を設置したという。その狙いについて、同社営業部・竹中公二部長は、「納豆メーカーとして、一般的な納豆の販売をさらに強化することは大切だ。しかし、納豆市場は単価が下落傾向にあり、新分野でも売上を確保できるようにしたい」と話す。

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新事業開発プロジェクトチームを発足し、新たな商品のアイディアを出し合い、その中のひとつが「粘りっ粉」だったという。「要冷蔵の納豆は賞味期限が7~10日程度だが、もっと長く、さらに常温で保存できないか考えた。しかし、ドライ納豆をそのまま食べるのでは面白味がない。そこで、粉末化して手軽に料理にかけたり、ふりかけのように使えないか思いつき、粉末化する設備を整えた。ただ粉末の納豆は既に市場にあったため、ひと工夫し味を付けてみようと、粉末しょうゆを仕入れ組み合わせている」と、開発までの経緯を話す。そして、チャーハンやパスタなどにふりかけて和えると納豆の風味・粘りが復活し、手軽に納豆味のアレンジが出来る調味料感覚の「粘りっ粉」が誕生した。

〈新設の2次加工室活かし、オリーブオイル漬けやペーストなど新たなチャレンジ〉
2021年7月10日(納豆の日)に、近隣のイベントなどでテスト販売を開始し、その後ブラッシュアップし、2021年11月にクラウドファンディング「マクアケ」で2カ月間、応援購入を募集した。目標金額を達成しニーズが確認出来たため、今年2月1日から一般販売をスタートしている。「納豆料理を作ると糸を引き台所がベタベタになるが、同商品だと汚れずに便利といった声や、リュックに入れて登山にも持っていける、(トレータイプの)一般的な納豆と違い好きな分だけ使えるといった好意的な声を頂いている。賞味期限が6カ月と長く、備蓄品や保存食としても活用できるのではないかという意見もある」と、消費者から良い反応が返ってきているという。今後、要望があれば小売店でも販売をしていきたい考えだ。

小杉食品は、2次加工室を活かした商品開発を進めている。毎月10日に発売する、7種の国産豆(三重県産フクユタカ大豆、北海道産光黒大豆、福井県産又は秋田県産青大豆、福井県産赤大豆、北海道産うずら豆、同大福豆、エンドウ豆)を使用した「カラフル納豆」のオリーブオイル漬けを商品化、ECサイトで販売中だ。そのままはもちろん、サラダやパスタの具材、パンやご飯のおとも、卵かけごはんや豆腐のトッピング、アヒージョにしてもおいしいという。
「カラフル納豆」オリーブオイル漬け

「カラフル納豆」オリーブオイル漬け(小杉食品)

また、業務用の可能性も広がっており、「例えば、外食事業者から納豆とオクラなど他の食材と合わせ、ひとつの具材として供給できないか要望があり、充填設備を入れ対応している」と話す。そのほか、提案を進めているのが黒豆納豆のペーストで、近隣の和・洋菓子店では、あんこに混ぜて使用した菓子が既に商品化されているという。「納豆菌が生きたままなので、健康的な菓子作りにチャレンジできる」という。今後も新たなチャレンジをしていく考えだ。
 
〈大豆油糧日報2022年3月16日付〉