ハナマルキ “ZUTOMAYO”コラボやTikTokでZ世代にアプローチ、人材採用への波及も期待

音楽アーティスト「ずっと真夜中でいいのに。」とのコラボレーションによる「すぐ旨カップみそ汁揚げなす生姜風味限定ニラ入り」
〈TikTokとインスタグラムを連動させ、動画によるメニュー提案にも注力〉
ハナマルキは2022年2月から公式ティックトック(TikTok)アカウントの運用を開始し、3月にはZ世代から絶大な支持を集めている音楽アーティスト「ずっと真夜中でいいのに。」とのコラボレーションを展開するなど、若い世代へのアプローチを強化している。

これらの施策から、ハナマルキは「Z世代に対する商品認知アップ」を狙っているように見えるが、平田伸行マーケティング部長によれば、この一連のプロジェクトは複数の目的が重なっているという。

ハナマルキ 平田伸行マーケティング部長

ハナマルキ 平田伸行マーケティング部長

「TikTokをスタートさせたそもそもの目的は、当社の公式インスタグラムの強化のため。インスタグラムとTikTokの連動による投稿コンテンツの充実を図りたかった。かつてインスタ映えという言葉が出てきて、いわゆる『映えるメニュー写真』を掲載してきたが、最近のインスタグラムでは、短尺の動画が多く投稿され、しかもその多くはTikTokと連動している。その流れに対応した。また、開設している企業がまだ多くない、というのも理由の1つ。当社は新しいチャレンジを優先していることからその点も開設を決定する要因になった」と明かす。TikTokでは「液体塩こうじ」のメニュー提案を実施しているが、インスタグラムのみで訴求してきた時とは視点を変えて、ベーシックな使い方を提案するようにしているという。
 
「今まではインスタ映えするように、写真に映えるメニュー提案を優先してきたが、一方で調理が複雑になり『液体塩こうじ』の良さを感じづらいメニューが多くなった。もう一度原点に立ち返って、浅漬けや炊飯への使用など、身近で、簡単なメニューにフォーカスしていきたい。TikTok自体は新しいメディアだが、コンテンツ自体は原点に立ち戻って発信していく」とする。
 
インスタグラムでは、静止画でメニュー提案を実施してきたが、TikTokと連動させることでユーザーからの評価も増えており、手応えを感じているようだ。
 
〈「ずっと真夜中でいいのに。」とスグ旨カップがコラボ、ファン層以外にも拡散期待〉
また、もう一つの注目のプロジェクトとして、「ずっと真夜中でいいのに。」と、スグ旨カップみそ汁のコラボレーションを実施した。コラボ限定の「すぐ旨カップみそ汁揚げなす生姜風味限定ニラ入り」を共同開発し、単独公演のチケットを購入した3万5,000人にコラボ商品を配布する。
 
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「『ずっと真夜中でいいのに。』とのコラボは、他に例のない内容で目新しく、また、ハナマルキとのコラボレーションというのは意外性がある。力のあるPRになると思った」と話す。
 
「ずっと真夜中でいいのに。」のファン層はZ世代が中心となっているが、「ファン層が盛り上がることによって、SNSでの発信によりファン層以外にも拡散が期待できる」と語る。また、特設サイトや特別映像では、ボーカルのACAねさんがお馴染みの「おみそならハナマルキ」のCMジングルにも声で参加している。
 
平田部長は「CMジングルは当社の強み。その強みをこのプロジェクトを通して発信できたことは大きい」と評価する。
 
そして、これらの「TikTok」や「ずっと真夜中でいいのに。」とのコラボで、大きな効果が期待できることとして「人材採用」を挙げている。宣伝部門がなぜ人材採用を目的にするのか、ということだが、ハナマルキは3年前よりマーケティング部に採用部門を移管させ、広報宣伝担当が兼務して新卒・中途採用活動も行っている。
 
「当社の広報宣伝チームは、効果的な広報宣伝プランを実施していくことに加え、優秀な人材の獲得も実現しなければならない。よって商品PRと採用PR両方を常に考えている。今回のTikTokや『ずっと真夜中でいいのに。』とのコラボについては、採用PRにも大きく寄与するだろうということが強い決定要因になった。
 
TikTokがきっかけでハナマルキを知り、採用応募につながるかもしれない。これまでアプローチできていなかった方々に波及する効果がこのプロジェクトには期待できる。これらのプロジェクトにより1名でも採用できたら、それもこのプロジェクトの大きな成果の一つとなる」と述べる。宣伝広報、採用広報を連動させて両方の効果を生み出す、という当初の狙いが着々と実を結んでいるようだ。
 
〈大豆油糧日報2022年3月28日付〉