ワタミファーム、千葉県香取市と清里ファーム 三者による連携協定締結/自社生産により安定した食材確保を狙う
ワタミ(東京都、渡邉美樹社長)の子会社である(有)ワタミファーム(萩野卓馬社長)は5月26日、千葉県香取市で香取市及び農事組合法人清里ファームと「水田農業の活性化に関する連携協定」を締結した。これにより、同社は自治体・企業・地元農業法人が連携した新たな農業モデルとして、米づくりに本格参入する。
現在、香取市は千葉県内で最も米の生産が盛んな地域だが、農業者の高齢化や担い手不足といった課題に直面している。このような状況の中、香取市内で畑作物の有機農業を長年手がけてきたワタミファームが昨年、米づくりに参入することを決定し、農地確保に関する相談を香取市にしたことが同協定の締結のきっかけ。ワタミグループ関連法人が以前から取引関係にあった、清里ファームの米の品質とその生産技術を高く評価していたこともあり、清里ファームに生産技術指導を依頼したことから、三者で協議を重ね、同協定を締結することとなった。
連携協定の趣旨は、香取市、ワタミファーム及び清里ファームが、それぞれの強みを活かして連携・協力し、水田農地の有効活用と安定的な米生産体制を構築することで、持続可能な地域農業の実現を図ることを目的とする。連携事項は〈1〉水田農業における担い手不足解消に関すること〈2〉米の生産技術支援及び担い手支援に関すること〈3〉香取産米のブランド向上に関すること〈4〉農業を通じた食育に関すること〈5〉その他持続可能な地域農業の実現に必要なこと――の5点。
ワタミグループは、清里ファームから技術支援を受けることで、米の生産拡大、自給化を図る。清里ファームの高い生産技術に、ワタミファームの企業規模が掛け合わさることで、担い手不足が解消するとともに、販路の拡大、収益の安定化につながる。香取市は、豊かな農業資源がある中で、担い手不足や耕作放棄地解消、ワタミグループで香取市産米を使用してもらうことでブランド向上を狙う。三者がそれぞれの強みを生かした連携協定となっている。
香取市の伊藤友則市長は挨拶にて「この協定締結によって、香取市の豊かな農業資源、ワタミグループの企業スケール、そして清里ファームの優れた生産技術が結びつくことで、地域農業の持続化が一層強化されるとともに、香取市産米のブランド力向上や、農業参入モデルの構築にもつながると確信している」と述べた。
ワタミファームの萩野社長は「近年、食材調達環境の不確実性が高まる中で、外食企業として、安定した食材を調達していくことが重要なテーマとなっている。特に主食である米について、生産段階から関わることで、安定的な調達体制の構築につなげていきたい。一方でワタミファームは20年以上にわたり農業に取り組んできた実績がある。今回の取り組みを通じて、水田維持や担い手不足の解消など、地域農業の課題解決にも貢献していきたい」と同連携協定を締結するねらいについて語った。
今年度は清里ファームと連携しながら米作りに関わり、香取市産の米を約100tワタミグループで仕入れ、外食店舗、宅食事業で活用していく予定。「現在、ワタミグループでは年間約1,200tの米を使用している。将来的には自社生産及び契約協力農家との連携を通じて、グループで使用する米の安定確保を目指したい」とした。清里ファームの齋藤勝代表理事は「やっとスタート地点に立てた」と自身の思いを語り、持続可能な地域農業について「米づくりで生計を立てられる農業を目指したい」「この取り組みによって(得られた経験や)情報を出し合って、地域全体が良くなればいい。そこを目指して頑張っていきたい」と積極的に地域農業の活性化につなげたい意欲を見せた。
調印式の後は、実際の水田で田植えも実演し、伊藤市長と萩野社長が田植え機を運転した。今回実演で植えられたのは「にじのきらめき」だが、主に生産するのは千葉県産の独自品種である「ふさこがね」。「ふさこがね」は早生品種で、暑さが本格化する前に収穫でき、比較的作りやすい品種であるため選んだという。

ワタミファームは来年度の目標として、年間使用する約1,200tのうち、600t程度を播種前契約で押さえたい考えだ。今回0.5haから開始した米づくりでは、ゆくゆくは自社で100haを目指したいとした。
〈米麦日報2026年6月2日付〉







