アグロルーデンス、米由来のマイコプロテインComeatで代替肉市場へ訴求
世界的にプラントベースフード(PBF)への関心は着実に高まっている。大豆以外の原料由来のPBFも普及する中、米由来の代替肉をつくるマイコプロテイン事業で注目されているのが、アグロルーデンス(東京都、佐賀清崇代表取締役)だ。
マイコプロテインとは、おもにキノコやカビ等の糸状菌を利用して生産される高たんぱく・低脂質の食品原料を指す。ヨーロッパではおよそ40年前から研究が進んでおり、今では代替肉として一般的に欧州の食卓に並んでいるという。畜産に比べると、温室効果ガスの排出がおよそ25分の1とされ、近年サステナブルな食材として注目を浴びている。民間調査会社の報告によれば、2025年は6億7,933万ドルの市場規模とされ、年平均成長率は8.6%と予測されている、近年注目されている分野だ。
同社は日本古来の発酵文化と独自技術を融合し、米由来の新しいマイコプロテイン「Comeat(コミート)」を開発した。米のでんぷんをアルファアミラーゼという酵素を使って糖化処理し、米蜜と米由来のたんぱく質に分離。その米たんぱくに麹菌を混ぜて発酵させ、米由来の代替肉をつくる。米蜜はシロップとして、水飴や砂糖の代わりに食品メーカーや飲食店などで使用されるほか、酒類用途への展開も可能で、エタノール発酵させてバイオ燃料とすることもできる。
「Comeat」は麹菌の発酵によるうま味とひき肉のような食感を兼ね備え、さまざまな料理に活用できる。高たんぱく・低脂質でありながら、発酵食品ならではの旨みと香りが特徴。グルテンフリーかつ主要なアレルゲンもない。
原料は主食用米ではなく加工用米を使用している。糖化処理は水分含有量が多すぎないほうがよく、一般的に主食用で好まれる新米やブランド米など水分が多い品種よりも、長粒種や加工米などの方が原料に向いているという。「人間がおいしいと思うお米はそのままで、その次ぐらいのレベルのものを我々がおいしく加工できれば。主食用米と共存していきたい」と跡部季子取締役は語った。
同社の独自製法は、麹菌を使い米のたんぱく質を発酵させることで、麹菌の菌糸が米の固体部分に沿って伸び食肉様食感を作り、たんぱく質が分解されてアミノ酸がマイコプロテインに蓄積されるというもの。それによりうま味が増え、ひき肉のような食感とともに深い味わいになる。高たんぱく・低脂質で、元々米に含まれている18種類のアミノ酸の含有量が、発酵させることでアップするという。一般的にマイコプロテインを製造する海外企業のほとんどが液体培養をしているなか、同社は固体培養しているのも特徴だ。
通常の液体培養は液体の培地で菌糸自体を育てるが、この方法だと廃液処理が必要であることや、菌糸自体の風味の面で課題が指摘されることがある。同社では、一般的な液体培養ではなく、米をベースとして固体発酵させるという手法をとっている。この方法で優れているのは、液体培養だと液体へ流出してしまう、うま味成分を米に留めておけることだという。添加物なども入れずに味を調整しやすいという長所もある。固体発酵の場合、2日間ほどで発酵を完了することができ、液体培養と比較して培養日数が短くなるのもメリットだ。同社の場合、培養の2日も含め、5日ほどでマイコプロテインができあがるという。
跡部取締役は「麹の力でうま味も増えて、栄養成分を保持し、廃液処理の負担が少ないため、コスト面と環境面でメリットがある。ほとんどの海外企業が液体培養という手法をとっている中、我々は独自技術である固体発酵によるお米由来のマイコプロテインとして成長していきたい」と独自製法の強みについて強調した。同社は「穀物と菌糸体である麹などを使って代替肉を作る」という製造法で特許を取っている。穀物という定義のため、米に限らずあわやひえなども対象となる。現在は麹菌の種類は決まったものを使用しているが、麹菌を変えるとマイコプロテインの味や食感なども変化することが予想されるため、ゆくゆくは幅広い味を模索していきたいという。現在は大学などとも共同研究を進めている。
Comeatは水戻しすると、2~3倍ほどにふくらむ。水分を吸うことでひき肉のような形状になるので、ミートソースやキーマカレーにしたり、それを普通の材料と混ぜてハンバーグにしたりと、ひき肉同様の調理ができる。乾燥体の水分は約10%で、常温流通や長期保存も可能だ。1kg単位や、10kg包装×2の20kg単位での業務用販売が基本だが、今後は1t単位などでの取引拡大も見込んでいる。現在はHaccome(ハッコメ)というショップ名で、自社ECサイトでComeatを使用したレトルト食品も販売している。Haccome=お米の新たな発酵食品という意味合いを込めた。Comeatには「UMAMEAT(ウマミート)」という別名もあり、どちらも商標を登録している。名称の使い分けについては「大豆ミートと差別化を図る上で重要な点は、“お米を発酵させているということ”。マイコプロテインという原料名ではなく、海外で展開する際は『UMAMI』として日本語のうま味が認知されているので『UMAMEAT』を使用し、国内向けには消費者がお米からできたお肉であることを直感的に連想してくれる『Comeat』という名称を使用することで、親しみやすさを持たせている」と説明した。
農水省からの補助金も活用して、栃木県大田原に自社の「那須工場」での稼働を開始した。年内には米由来マイコプロテインと米蜜の増産を目指す。跡部取締役は「代替肉市場だけではなく、発酵食品市場も狙っていきたい」とComeatの展望を語った。








