食生活研究会、第34回「食と健康」講演会“香り”の研究成果を発表

正田修理事長
正田修理事長

(公財)食生活研究会(正田修理事長=日清製粉グループ本社名誉会長相談役)は3日、都内で第34回「食と健康」講演会を開催した。

同研究会ではこれまで研究助成として最近10年間で1億4,900万円、今年度は23件、2,200万円の助成を行っている。その中の11件は、特に今後の研究の進展を期待する研究者として3年間継続して助成を行う。海外から日本への留学生支援は、14年間で合計68人を支援してきた。2023年から開始した日本から海外への留学生支援は、初年度の2人に加え、一昨年度は3人、昨年度は2人、今年はアメリカ、ドイツ、フィンランド、オランダの大学院に留学する4人の計11人を支援している。

今回の講演会の第一部では同財団が2024年度から助成している工学院大学先進工学部応用化学科の飯島陽子教授が「食品の嗜好性を決める風味要因のフレーバーオミクスによる解明と調理効果の検証」という内容の研究報告を行った。飯島教授は、食品品質の違いの可視化とグリーンケミストリーな食品成分分析について説明した。食品のおいしさの指標として、歯ごたえや舌触り、喉越し等は「物理的特性」とし、色や味、香りを「化学的特性」とする。その上で、香りが食べ物のおいしさやそれに対する好き嫌いに与える影響が大きいとし、香りが何によって決まるのか、調理加工プロセスが香りに与える影響を検証する方法について研究している。

第二部は東京大学大学院農学生命科学研究科の東原和成教授・研究科長・農学部長が、「香り・脳・健康――食ウェルビーイングの科学」について講演を行った。講演にあたり東原教授は「農学が、食、生活、生命を支える“もの”を作る一次産業をサポートする学問分野であるとともに、人類の衣食住・健康を多方面から支えてきた学問として、地球上の様々な問題の解決策に関する多くのシーズを利用した持続可能環境調和型の科学技術の確立が喫緊のミッションであるという学問分野に進化しつつある」と農学の現代的意義を説明した。人が香りを感じるメカニズムから、農芸化学における嗅覚研究が人の食と健康と安寧に関わること、嗅覚に関わるサービスが遅れている本質的な課題について整理した。「香りサービス」のもたらす社会経済的効果を提示し、五感コミュニケーションが希薄である現代において、まさに今進めるべき研究領域であるとまとめた。

講演内容への質疑応答が交わされた後、今年度支援している8人のうち、7人の留学生が登壇し、それぞれ日本語で自身の研究分野や財団への謝辞などを述べた。留学生らはベトナム、台湾、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、アメリカ、ポーランドなどさまざまな国から日本へ来て支援を受けている。

〈米麦日報2026年9月9日付〉

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