マルサンアイ、2023年9月期は営業利益段階で増収増益を計画、豆乳とアーモンドミルクなどの飲料に注力

マルサンアイ・堺信好社長
マルサンアイ・堺信好社長

マルサンアイは11月7日、愛知県岡崎市の本社で前期(2022年9月期)の決算説明会を開いた。豆乳とアーモンドミルクが順調に推移し14期連続で増収を記録、中期経営計画目標の売上高300億円以上を2年連続で達成した。一方利益面は、原材料費に加えて変動費が大きく増加した影響で減益となった。

今期は、売上高は前年比1.6%増の311億8,600万円、営業利益54.0%増の3億6,400万円と増収増益を計画。経常利益10.5%減の2億3,000万円、当期純利益5.7%減の1億3,400万円を見込んでいる。

堺信好社長は1年を振り返り、「昨年この場で高利益体質企業にすると話した。営業利益率を上げると約束したにもかかわらず下がった。ただ、外的要因、とくに光熱費、燃料などの変動費の影響が非常に大きく、一昨年比で約3億円増えた。一昨年並みであれば利益改善しており、やるべきことはできたと自負している」と話した。

〈「モノ」から「意味」へ転換、付加価値商品の開発と価値を伝える営業を推進〉

今期については、「売り上げは引き続き豆乳とアーモンドミルクが伸長する見通し。豆乳の価格改定を4月1日から実施したが、実質その影響が出てきたのは7月頃から。今期は豆乳の値上げが営業利益を押し上げる見通し」とした。

事業別の売上高では、みそ事業は生みそ7.6%減の33億1,000万円、調理みそ13.4%減の3億500万円、即席みそ42.2%減の2億6,200万円、液状みそ1.7%増の2億1,800万円を計画。豆乳飲料事業訳は豆乳4.8%増の220億3,400万円、飲料1.6%増の28億2,600万円を計画している。

今後の事業展開については、商品開発と販売戦略の転換を図る。「昭和は大量生産・大量販売が主で、モノをつくれば売れていた。平成になりモノ消費からコト消費へ、令和は意味消費へ変わり、社会課題を解決するなど意味のある商品を供給していき、営業はその意味を価値に変えて売っていく。『モノ』から『意味』へ転換し、事業展開をしていきたい」と強調し、付加価値商品の開発と商品価値が伝わる営業戦略を推進する。

また、事業テーマ「企業価値向上と社会課題解決への参画」を掲げ、「高収益体質企業にすると同時に社会課題解決にも挑戦していく。企業価値向上とはROICの向上であり、社会課題の解決はSDGsの推進である。財務と非財務の2本立てで経営をしていく」とした。

その上で、豆乳とアーモンドミルクなどの飲料、豆乳グルトを主力とするチルド食品「食べる豆乳」など成長セグメントについては積極投資と競争力の強化を、みそ事業などの収益改善セグメントについては効率化とスリム化による利益体質の構築を図る。

「食べる豆乳」は、引き続き好調な豆乳グルトを中心に、今秋新製品の豆乳ソフトなどの豆乳派生食品を投入する考えだ。「国内のプラントベースフード市場が急成長する中、チルド事業の成長と豆乳の消費拡大に力を注ぐ」。「食べる豆乳」の導入状況は徐々に増加、今秋冬の導入状況は、豆乳シュレッドは約10%増の約3,500店、豆乳スライスは約10%増の約2,500店、豆乳ソフト約2,000店となっている。

みその収益改善については、「今秋の『味の饗宴無添加生』のリニューアル効果に重きを置いた」とし、値上げについては「現状では考えていない。右肩下がりの市場であり、さらに冷え込む可能性がある。ただ今後の環境、状況では考えることもある」との考えを示した。

豆乳グルトを3月に「お通じを改善する」機能性食品表示食品としてリニューアル発売。国産大豆の豆乳を使った商品との2品体制で、前期は3%増加した。今期も3%増を見込む。

〈大豆油糧日報2022年11月10日付〉

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