みそ関連が備蓄米を大量確保、糀割合の高いみそブームや中堅の国産米志向も要因に
みそ業界では、原料米の不足感、調達価格の高騰の改善見込がたたない状況だ。2024年12月18日に行われた加工原材料用途への備蓄米販売入札結果によると、全国味噌工業協同組合連合会が1,743t、マルコメが1,590tを落札し、国産米の確保に動いた。
販売対象の1万tは全量落札され、みそ関連の落札は全体の3割を占めた。マルコメでは、今回の落札に関して、「特定米穀の確保が困難のため、不足分はMA(ミニマム・アクセス)米、SBS(売買同時入札)米、加工用備蓄米も併せて確保している」と述べている。
生産サイドは主食用米を優先しており、加工用米を増やす意向を示していない。また、特定米穀が2年連続で減少しており、平年50万tのところ、2023年産は4割減の20万t、2024年産は2割減の10万tとなっている。
MA米の需要も増えているが、そのほとんどが飼料用に流れているという情報もあり、確保するのは困難な状況にあると言われている。
みそ市場では、糀割合の高いみそが人気を集めており、主に大手みそメーカーによる原料米の需要は増加傾向にある。こうしたことも、原料米の確保が困難となり、価格が高騰している要因のひとつに挙げられている。また、中小みそメーカーでは、国産原料にこだわるところが多く、高価格帯でも集めるしかないという状況だ。外国産に切り替えた場合でも、仕様・表示を変更しなければいけないことから、パッケージの変更などによる経費もかかるといった問題も浮上してくる。
神州一味噌の受け入れを表明したひかり味噌では、「国産米がみその原料として適していることや、消費者の国産志向を考慮すると、今後も国産原料の調達には力を入れていきたい」という意向を示している。
また、中小みそメーカーからは「これ以上価格が上がれば飯米にも手を付けざるを得ない。コスト優先より、仕込み優先になると思う」といった声も聞かれる。
米不足の解消には、全体の米の生産量を大幅に増やしてもらうしかないが、現状の改善を望むのは難しい状況に変わりはないという意見が業界全体の認識となっているようだ。
〈大豆油糧日報 3月13日付〉