【注目企業インタビュー】35周年を迎えても「赤字になったことがない」-かるなぁ

かるなぁ 余語啓一専務
かるなぁ 余語啓一専務

◆インバウンド需要で出荷も増加傾向、売上の6割は業務用、安定した売上のベースに

創業1990年、今年35周年を迎えるかるなぁ(名古屋市天白区)。自然食品を開発・製造するメーカーで、ヴィーガンやベジタリアンからの高い支持を得ている。5年ほど前に起きた大豆ミートブームによって、脚光を浴びる。卸を中心に事業を展開しており、機内食などの取引では20年近く続いているクライアントが存在する。

近年はインバウンド需要の高まりで、全体の出荷量も増加傾向にある。余語啓一専務によれば、「創業以来、赤字になったことがない」という。現在、ダウントレンドにある大豆ミート市場で健闘する同社の強みは何か。余語専務に話を聞いた。

──御社の強みについて

強みは、ヴィーガン、ベジタリアンの総合商社であること。売上の6割は業務用で安定した売上のベースを作っている。オリジナル商品以外にも、他社製品の販売も行っており、少ないオーダーに対しても柔軟に対応できることなどが支持されている理由かもしれない。OEMで請け負うことができることも、当社の強みだと感じている。

自社工場の生産能力は、1日で多くても200食レベルだ。キャパを超えている部分に関しては、取引が長く、うちのレシピを知っている外注に出して、納めることもある。工場への投資は考えていない。工場を大きくしてしまうと、あれもこれも作れない。ある程度商品を絞り込んで量産するまでの規模の受注も少ない。それぞれ得意な外注先があるので、外注した方が、安く作ることができるなど、メリットの方が多い。

また、開発力も強みといえる。改廃はあるが、現在40アイテムを取りそろえており、いろいろと選択できるので、リピーターがついている。

──大豆ミートの販売について

以前はベンチャー企業などの勢いによって、大豆ミートがメディアなどに露出する場面が多かったが、その盛り上がりはトーンダウンしている。しかし市場は大きくなっていると思う。

当社の場合、大豆ミートのこだわっているタイプは、有機や国産大豆を使い、化学溶剤抽出せずに、昔ながらの圧搾製法で、油を搾ってからエクストルーダーに入れている。20年近く同じ方法で生産しており、ヴィーガン、ベジタリアン以外の自然食品を好むユーザーからも支持されている。

自然食品を好むお客様はこだわりが強いので、製品価格がある程度高くても、安全を担保に購入してくれる。自然食市場でシェアが取れたことも良かったのかもしれない。

◆業務用「ヴィーガンツナ」が完成、5月からの販売を目指し、コンビニなどに提案中

──良く売れている商品について

大豆ミートが好調だ。唐揚げやハンバーグといった加工品も売れている。粉末や液体の調味料の販売も堅調だ。ヴィーガンでも使用できる調味料系の液体のだしつゆは、創業から販売しており、老舗のしょうゆメーカーとの共同開発で販売させていただいている。五葷を使っていないので、オリエンタルヴィーガンからの需要も高い。ケチャップやウースターソースも玉ねぎを取り除いているので、リピーターも多い。

──今手掛けている新商品について

業務用の「ヴィーガンツナ」が完成し、5月頃から販売を開始していきたい。大手食品メーカーと共同で開発した。素材はグルテン100%だ。市場では大豆ミート系が多いが、小麦の方が、食感が良く、おいしい。食感の再現にこだわった。地域限定だが、大手コンビニのプラントベースおにぎりへの採用を提案している。

──日本プラントベース市場協会について

理事長を任されている。ヴィーガン、ベジタリアン市場が広がるきっかけづくりをしていく。日本ヴィーガンアワードやいろいろな植物由来の食品が食べられる祭りなども企画していく。そうしたコミュニケーションを通じて、野菜だけでこれだけおいしく食べられることを伝えていきたい。

〈大豆油糧日報 5月1日付〉

媒体情報

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大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

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創刊:
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発行:
昭和33年(1958年)1月
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