太子食品工業、3月にリニューアルした「東北そだち」が大きく伸長、コンセプトが浸透【役員インタビュー】

〈太子食品工業 常務取締役 企画本部 本部長 工藤卓伸(くどう たくのぶ)氏インタビュー〉
――貴社(3月期)販売実績は
4~7月販売状況は、納豆事業が金額で10%増だった。米の高騰によるダウンを危惧していたが、健康需要が引き続き高い。数量も8~9%増となった。7月に納豆がテレビ番組で取り上げられ、ひきわり納豆が伸長した。
豆腐事業は金額・数量ともに1%増となった。一時期、野菜が高騰したことで豆腐の購入が増加したが、野菜が安くなったことで鈍化した。豆腐市場が縮小する中で、豆腐バーは前年実績を維持した。まだまだ市民権を得られていないと感じるので、引き続き注力していく。豆腐バーはおにぎりやサンドイッチのような位置づけではなく、おやつとして食べられるシーンが圧倒的に多い。日常的に食べてもらえるよう習慣化させたい。
――新商品の反応は
新商品では、3月にリニューアルした「東北そだち」が評価され大きく伸長している。同ブランドは、東北産の大豆を使って東北の企業が作ることをコンセプトにしており、そのコンセプトが浸透してきた。
3~6月にキャンペーンを実施したところ、2万件以上の応募が来た。バーコードは7万5,000枚届いた。このキャンペーンを通して裾野が広がり、新しいファンも増えた。
――好調な商品は
「超きざみひきわり納豆」が非常に好調で30%増だ。ひきわりを食べる人の割合が増えている。食べる人の年齢層が広がった。食シーンも、ご飯以外にも、そうめんにかけるなど広がりを見せている。
〈業界初・充填の木綿豆腐を新発売、SDGsプロジェクトを立ち上げ〉
――下期の施策は
目玉の新商品は、業界初となる充填の木綿豆腐「北の大豆 味わい木綿」だ。当社の独自技術「きぬ練り製法」で水切りの工程を兼ねている。保存水が入っていないため大豆の旨味が逃げない。美味しさも長持ちする。
プロモーションでは、「モットーフ」でディスプレーコンテストを行う予定だ。

――貴社の新たな取り組みを教えてください
昨年秋から、SDGsに関するプロジェクトを立ち上げた。スローガンは「サステナブル太子を作ろう」だ。型にはまらず、太子らしさをどう伝えるか議論している段階だ。
当社は創業から、無添加にこだわったり遺伝子組み換え大豆不使用を宣言したりと、SDGsに近い考えを持っており当社の理念にも通じる。SDGsという言葉が生まれる前から、人や環境のことを考えてきた。
メンバーは、それぞれの部門から1人ずつ選出した30~40代の社員だ。
具体的な施策だが、当社の歴史を調べてみると、CO2削減など、既にさまざまな取り組みを行っている。
新しい施策を実施する際は、当社の理念を理解した上で、「当たり前ではないものを発想しなさい」とメンバーに伝えている。豆腐バーを発売したのも、大豆にあらゆる可能性が秘められているからだ。海外の人からは、「とてもサステナブルだ」と評価されている。海外にも刺さる商品になったのは、太子の理念があってこそだ。
〈大豆油糧日報2025年10月10日付〉