日本テトラパック、循環型社会共創、業界連携でリサイクル推進【万博レガシー特集】

北欧パビリオン内で配布されたボトルドウォーター
北欧パビリオン内で配布されたボトルドウォーター

日本テトラパックは、大阪・関西万博で北欧パビリオンのプラチナスポンサーを務め、北欧パビリオン来場者向けにリサイクル体験を提供。さらに各種イベントを通じ、サステナビリティの重要性を多角的に発信した。同社サステナビリティディレクターの大森悠子氏は「当社がサステナビリティ分野でリーダーシップを示す価値ある機会となった」と振り返る。グローバル企業としての強みを生かし、豊富な知見を共有したことで、参加者から高い評価を得た。

リサイクル体験では、紙容器入りボトルドウォーター40万本を北欧パビリオンで配布し、専用回収ボックスで回収した容器を万博会場内で使用されるトイレットペーパーに再生。ボトルドウォーターの梱包には、国内初のアルミ付き紙容器を原料とした再生段ボールを活用。今後、飲料メーカーによる採用も予定されている。さらに、アルミ付き紙容器を再利用した什器や紙ナプキンも同パビリオン内で展示し、新たな再生品の可能性を示した。今後もさらなる再生品の開発を構想中だ。

アルミ付き紙容器を再利用した紙ナプキン
アルミ付き紙容器を再利用した紙ナプキン

イベントは顧客、関連企業、小学生向けに計4回開催した。6月17日には業界関係者約40名を招待し「資源循環の未来:共創が生み出す新たな価値と可能性」をテーマに実施した。

欧州製紙連合会ヨリ・リングマン事務局長は、欧州での資源循環推進事例を紹介し、「循環性向上には、競合他社との包括的な連携が不可欠」と強調。「日本では団体が細分化しており、横の連携が必須だ」(大森氏)と指摘する。

テトラパックのキンガ・シェラゾン副社長は、紙容器設計段階から環境配慮を実践する「デザイン・フォー・リサイクリング」を紹介した。

王子ホールディングス島谷啓二リサイクル推進部長は、複合素材を含む未利用古紙のリサイクルの重要性を訴えた。

講演後、官民連携による紙製容器包装の循環型社会実現をテーマにパネルディスカッションを行い、古紙回収の現状や課題、回収の効率化、古紙を再利用するための技術革新の必要性を議論した。

〈アルミ付き紙容器のリサイクル啓発に注力、小学校でのワークショップ開催も検討〉

小学生向けイベント「紙の資源循環体験ワークショップ」は9月27日に開催し、大阪府内の小学生計72人が参加した。地球温暖化の原因や影響、リサイクルの重要性を学んだ後、使用済み紙パックから紙繊維を取り出しキーチェーンを制作。「子ども達が、資源循環の意義を理解し、行動につなげてほしい」(大森氏)と語る。応募総数が想定以上だったため、小学校での継続開催も検討している。

同社によると、アルミ付き紙容器のリサイクル認知度は低く、今後も啓発に注力するという。

5月7日には、「未来の食品システムに向けた取り組み」をテーマに食品・飲料メーカーの顧客約100人を招き、国内外の食品システムにおける課題や共創の可能性を議論。「2035年の食卓」も振舞った。同社執行役員マーケティングディレクターの鍜治葉子氏は「未来の食品システムが直面する課題について顧客である食品・飲料メーカーと共有し、多角的な視点で共創の可能性を議論できたことは非常に有意義だった。今回のイベントを起点にさらなる協業を進めていきたい」と意気込みを語る。

9月26日には、食品加工処理機器のエンジニアリング企業約40名を対象に「共に歩む食品業界の未来」と題し、グローバルトレンドや最先端技術を紹介した。同社常務執行役員プロセッシング事業本部長の平賀一孝氏は「食品業界の未来を見据え、グローバルトレンドや省人化・省力化を実現する当社のプロセッシング技術を紹介できたことは非常に意義深いと感じている。今回の縁を大切に、エンジニアリング企業とのより強固で長期的なパートナーシップを築いていきたい」と思いを語る。

〈大豆油糧日報2025年12月19日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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