納豆資材の専門商社から見た納豆市場、中東情勢で納豆資材が急遽値上げに【全容器】

スーパーでの納豆売場
スーパーでの納豆売場

物価高の状況下で値ごろ感があり、健康志向も高まっていること、さらに簡便性などを背景に納豆の好調が続いている。一方でPSP(発泡スチレンシート)容器の原料となるポリスチレン樹脂が4月から急遽、大幅に値上げされると発表があり、先行きは不透明だ。

この発表を受けて、PSP容器や被膜の値上げはやむを得ず、納豆も5~6月に緊急値上げに踏み切ることになるという。

納豆資材の専門商社である全容器に取材し、納豆市場の近況と、今後の納豆資材の動向について話を聞いた。

直近の納豆市場は、一昨年末から需要の高まりが続いており、「過去50年間で一番売れている」との声も聞かれるほどだという。全容器では、納豆市場は前年比10~15%増で伸長していると推測する。

好調要因は、納豆が値ごろで、栄養価も高いためだ。他の食品が大きく値上げする中で、納豆は一昨年に値上げするも、値上げ幅は10~20円程度にとどまった。これまで納豆を1パック買っていた消費者が2~3パック買うようになるなど、ヘビーユーザー化が進んでいるとの見解を述べる。加えて、調理不要ですぐに食べられる簡便性や、たん白質が摂れる点も支持されている。

「値上げしたにもかかわらず10%以上伸びており、経営環境が改善したメーカーもある(全容器)と話す。

輸出も引き合いが高まっている。以前は海外在住の日本人による消費が主だったが、現在はインバウンドをきっかけに現地の人も食べるようになった。世界的な健康志向の高まりも、その後押しをしている。米国やヨーロッパは特に伸長率が高い。

メーカーは国内向けの商品と並行して海外向けの商品も製造する状況で、人手不足が課題になっている。

「個人的には、本当はもう少し値上げして、販売数量が落ち着くのがベストだと思う。しかし納豆はスーパーでの集客力が高く、価格は簡単には上げられない。それでも、下段商品は100円以下で並んでいるのに対し、上段商品は170~180円とかなり値上げしており、価格差が大きく開いている」と話す。

〈 PSP容器の原料や被膜などが約4割値上げ、5~6月に関連メーカーが一斉値上げか〉

かつてないほどの好調ぶりを見せる納豆市場だが、先行きは不透明だ。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで原油の確保が厳しくなり、PSP容器の原料となるポリスチレン樹脂の数量・納期調整、価格改定が行われているためだ。

中東情勢の悪化が長期にわたった場合、夏には供給制限されることも考えられるという。

国内最大のポリスチレン樹脂メーカーであるPSジャパンでは、4月1日出荷分からポリスチレン樹脂をキロ90円以上値上げすることを3月24日に発表している。同じくポリスチレン樹脂メーカーの東洋スチレンも、4月1日納入分からキロ90円以上値上げすることを3月25日に発表した。全容器によると、現行価格から約4割の値上げに相当するという。

被膜の原料であるポリエチレンについても、プライムポリマーが4月1日納入分から、ポリエチレンとポリプロピレンをキロ90円以上値上げすると3月17日に発表している。

原料が急激に値上げされることから、「5月には納豆製造にかかわる全ての企業が価格改定を行うだろう」と述べる。「容器や被膜のメーカーによると、5~6月に値上げは避けられないものの、夏から年内までは通常通り供給できる見込みとのこと。ただ、通常の納品以上の注文は受けられないそうだ」と話す。

PSP容器や被膜が大幅に値上げされれば、納豆も値上げせざるを得ない。「納豆メーカーも同時(5~6月)に値上げしないとならない。メーカーが耐えられるレベルではない」と懸念した。納豆だけでなく他の食品でも起こりうる事態だと指摘する。

加えて、原油の供給が制限された場合、納豆資材が不足するだけでなく、ボイラーを動かせなくなることも想定されるため、納豆の製造に深刻な影響があらわれると見通した。

〈大豆油糧日報 2026年4月3日付〉

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