【役員インタビュー】J-オイルミルズ・松本征之常務執行役員CCO

J-オイルミルズ・松本征之常務執行役員CCO
J-オイルミルズ・松本征之常務執行役員CCO

〈「スマートグリーンパック」引き続き拡大、搾油採算は歴史的にかなり厳しい状況〉

――前期(3月期)の総括を

業績は厳しく推移し、計画には及ばず、第3四半期の決算発表時に下方修正を行った。ミールバリューの低下で油のコスト上昇が大きく、コストの変動に対して価格改定が追いついていない。お客さまのご理解をいただきながら、着実に価格への反映を進めている。業務用・家庭用油脂それぞれで、メーカーとして必要と考える水準には及んでいないため、3月発表の4月からの価格改定につながっている。

業務用は、インバウンドを含めて外食市場が堅調で、前年を少し上回る市場推移になると見ている。加工用も同様で好調に推移している。物量ベースでは当社は前半にかけて、やや市場を上回って推移したが、後半は軸足を価格改定の浸透に置いて取り組んだこともあり、市場並みに落ち着いている。

家庭用市場が縮小している中、紙パックの食用油「スマートグリーンパック」の取り扱いが引き続き拡大している。オリーブ油など好調なカテゴリーに注力することで取り扱いを拡大している。

サプリメントオイルは、昨年JOYL「AJINOMOTOMCTオイル」を発売した。この春には、えごま油の機能性表示食品「同 ことばうっかりサポート えごま油の力」を新発売した。お客さまからの反応も良く、計画よりかなり高い水準での取り扱いが決まっている。26年度へのプラス材料と捉えている。

一方、ベーシックタイプは価格改定が想定よりも進まず、業績にも影響した。26年度も引き続き、小売各社と交渉していく必要がある。

――価格改定の進捗は

目の前のコストは上昇が明らかなので、何としてもご理解いただかないといけない。

この先の見通しでは、米国環境保護庁(EPA)のバイオ燃料混合義務量引き上げが決まり、中東情勢の悪化に伴う原油高騰の影響も受け、植物油のコストが上がることが確実視される。搾油採算は歴史的に見てもかなり厳しい状況となっている。

家庭用は、昨年10月に想定していた価格改定分がおよそ半年遅れている状況のため、必要な水準の実勢化に向けて動いている。加えて、その先に見えているコスト高の準備も必要だ。

〈価格改定を最優先課題に、油の安定供給の責任を果たす〉

――26年度の重点方針を

何よりも価格改定に重点を置いている。過去20年分のコスト変動とそれに伴う利益水準の変動を見ても、製油産業はコストと利益のボラティリティが付きものではあるが、2020年以降はフェーズが変わっていると捉えている。ボラティリティの振れ幅が大きく、角度も急で、拡大期に突入している。当然、短期の業績への影響も従来よりも大きく受ける。

まずは26年度の価格改定を、単価をいかに早期に必要水準まで引き上げるかが最重要課題になる。コスト変動に関して自助努力で吸収してきたが、将来にわたって国内製造の油を安定供給する責任を果たしていくためにも、適切な価格改定が何より重要な年度になる。合わせて、油脂を中心とする事業ポートフォリオの高度化を加速させていく。

――業務用の施策は

家庭用と同様に、コスト上昇分を適切に販売価格へ反映させることだ。その中で高付加価値型の「JOYL PRO」シリーズの調味油や調理油は着実に伸びており、引き続き機能性油脂を用いたお客さまの課題解決を進める。

昨年リニューアルした長持ち油「長徳」は計画通り伸長しており、引き続き伸ばしていく。昨年の新製品「JOYL PRO 美味得徳こくアップオイル」も引き合いを多数もらっている。から揚げの下味付けの際に少量加えることで素材のおいしさを引き立てる。餃子やハンバーグの具に用いても、コストを抑えつつ食材のコクを向上させることができる。機能性油の一つの武器にしていく。

サービス領域では、油脂劣化度判定試験紙「AV-CHECK」の紹介を続けている。お客さまは油を効率よく使いたいというニーズがあり、引き合いが増え、利用ユーザーは広がっている。

――家庭用の施策を

家庭用市場が縮小する中でも、健康価値や利便性など、生活者に明確な価値を届けられるカテゴリーに経営資源を集中していく。期待しているのはサプリメントオイルの「AJINOMOTO ことばうっかりサポート えごま油の力」だ。機能性表示食品としての特徴を打ち出している商品であり、お客さまからも前向きな反応が寄せられている。

また、「スマートグリーンパック」の支持も広がっており、26年度は改めて加速させたい。瓶やペットボトルとは異なるユーザー層に支持され、20~30代を中心とした新たな需要の獲得につながっている。既存商品の置き換えではなく、新たな需要を取り込む形で広がっており、引き続き力を入れていく。

――オリーブ油のコスト環境は

オリーブ油のコストは足元では比較的落ち着いた推移を見せている。価格が安定している中で製品やプロモーションを磨いて、市場を活性化させたい。

〈大豆油糧日報2026年4月24日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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