【新しい挑戦を続ける老舗みそメーカー役員に聞く】ハナマルキ・平田伸行取締役/25年は塩こうじ事業で20億円を達成、PRと人材強化で売上に寄与
大正7年(1918年)創業のハナマルキ(長野県伊那市)は、常に新しい挑戦を続ける老舗みそメーカーである。熟成させたみそにさらにこうじを追加し再び熟成させた「追いこうじみそ」や、粉末みそとフリーズドライ具材を直充填した「すぐ旨カップみそ汁」などを展開している。直近では、4月に料理家の和田明日香さんを起用した「液体塩こうじ」のテレビCMを放映開始した。
同社は塩こうじブーム真っ只中の2012年4月に粒状の塩こうじを発売した。各社が参入する中「使いにくい」、「液体があったらいいのに」といった声が聞かれると、半年後の10月「液体塩こうじ」を販売開始した。
「液体塩こうじ」は、粒状の塩こうじを同社独自の圧搾技術で液体化した万能発酵調味料であり、非加熱で酵素を活かしたまま仕上げている。素材を柔らかくする「軟化効果」、うま味を引き出す「うま味増強効果」、気になる風味を抑える「マスキング効果」を発揮する。
〈社員全員での店頭販売や「塩こうじ会議」を実施、米国リテール市場に本格参入〉
平田伸行取締役が入社したのは、「液体塩こうじ」発売直後の13年。このときすでにブームは収束に向かっていた。一方、「液体塩こうじ」の大きな可能性を確信した平田氏は、世の中に「液体塩こうじ」という単語を一語でも多く出すため、PRは液体塩こうじのみに絞って注力した。小さな企画もリリースとして発表することで、地道にメディア露出を積み重ねていった。
液体塩こうじの店頭販売にも注力。平田氏自ら販売マニュアルをまとめ、マネキン会社の販売スタッフに、直接レクチャーを行った。店頭での販売実績を見える化し、販売の傾向を分析。実際に店頭に立って傾向を掴もうということで、社員全員での店頭販売も実施した。
PRと並行して、社内の液体塩こうじへの興味関心を高めるために、社内で「塩こうじ会議」を始めた。開始時間を12時とし、液体塩こうじを使ったランチを用意し、食事をしながら液体塩こうじの使い方を話し合う。会議では「みそ、という言葉は一切使わない」とし、液体塩こうじをどうやって売るかに集中して議論した。月に一回開催し、現在まで13年間続いている。
売上拡大を目指す平田氏は、入社後すぐ「採用もやらせてほしい」と申し出た。前職のリクルート、アパレル会社でも宣伝PRの業務と並行して採用も担当。数多くの履歴書に目を通し、面接を行った経験がある。ハナマルキが成長していくには優秀な人材が欠かせないとし、自らが採用現場に立つ。これまで多くの人材が入社しており「新しく入社した社員も確実に成長に貢献してくれている」と語る。
「液体塩こうじ」の売上は右肩上がりに拡大しており、25年には粒状を含めた塩こうじ事業で20億円を達成した。3月には、米国の展示会に出展し、米国リテール市場への本格参入に向けて、家庭でも試しやすい210mlの小容量サイズを発表した。有機認証モデルも投入し、ニーズに応える。
平田氏は今後の目標について、「液体塩こうじはまだまだ大きな成長可能性がある。社員一丸となって開拓していきたい」とした。
【プロフィール】
ひらた・のぶゆき 1968年3月15日生まれ。90年に広島大学経済学部卒業後、同年4月にリクルートに入社。採用広報のディレクターを経て、制作部門や宣伝部門のマネージャーに。2010年アパレル企業のストライプインターナショナルに転じ、執行役員社長室長兼広報部長。13年ハナマルキ入社、18年取締役就任。現在は人事部門とマーケティング部門を管掌。趣味はウォーキング。
〈大豆油糧日報2026年6月5日付〉







