【役員インタビュー】昭和産業・小山征信常務執行役員ビジネスプランニング部・フィード事業部担当フード事業部長、「前期は計画近い着地に」

昭和産業 小山常務
昭和産業 小山常務

――前期(3月期)の総括

昨年6月の米国環境保護庁のバイオ燃料混合義務量引き上げ政策案の発表により、世界的に搾油需要が高まり、ミールバリューが低下した。原料高、円安、ミールバリュー安といった状況は、現在も続いており、第4四半期にはさらに中東紛争の影響が加わった。昨年、4月と9月に価格改定を発表、そして、新年度となる4月からの価格改定も発表し、ユーザーに理解を求めているが、コスト環境の悪化がどこまで続くのか、先行きが見えないことが要因となり交渉の進行は遅くなってしまう。これについては、丁寧に状況を説明しお願いしていくしかない。

また、ホルムズ海峡が閉鎖されているが、生産資材などの安定調達が図られないと、油脂製品の安定供給にも影響が出てくる可能性がある。政府には、業界全体のサプライチェーンの安定に配慮してもらえるよう、要請していきたい。

前期の製油事業に関しては、価格改定の影響もあり販売数量は、若干下回った。売上高についても計画には届かず、利益も前期には届かなかった。しかしながら、今期の厳しい事業環境については予測できていた部分もあり、最終的には年間計画に近いところで着地する見込みだ。

〈適正価格形成を最優先、こめ油・コーン油を磨き込む、機能性油脂の検討も〉

――油種別の好不調は

この春に家庭用の新製品として、コーン油とこめ油をブレンドした「とうもろこし&こめ油 軽やかブレンド」を新発売した。自社グループ内で、抽出から精製・充填まで一貫製造となっているコーン油とこめ油を活かした、当社ならではの新製品となる。コーン油は、以前から風味やコクが高く評価されていたが、原料となるコーンジャームの年間を通じての安定調達が課題だった。夏場においては、飲料需要が高まることに伴って異性化糖の生産も増え、コーンジャームの調達も安定しているが、飲料需要が低下する冬場での調達をどうするかが、コーン油を扱う上での課題だった。

当社は、糖質事業も行っていることで鹿島工場やグループ会社の敷島スターチにおいて、コーンジャームを扱っていたが、サンエイ糖化のグループ入りで調達力が大きく向上した。

こめ油は、健康面での評価を背景にこの数年で市場が大きく伸長していたなか、ボーソー油脂をグループに加えることができた。

この春の新商品は、コーン油とこめ油のそれぞれが持つ風味・コク・甘さといった特徴を、余すことなく活かした商品となっている。しかしながらそこで留まらずに、家庭用で発売したことを通じて、消費者の意見や流通の評価をいただくことで、コーン油やこめ油を、これからどのように磨き込んでいけばよいのか、例えばフレーバー的に使う調味油など、様々な可能性が見えてくると考えている。

当社は、製粉事業・製油事業・糖質事業と複数の事業を展開していることで、多くのお客様を持っているのだが、縦割り組織の壁が強く、その大切な資産を上手く活かすことが出来ていなかった。そのようななかで、2023年4月に販路別の営業組織に大きく組織改編を実施したことで、新しい販路が広がってきた。

例えば、パン業界や飲料業界など、従来は小麦粉や糖質製品だけを販売していたユーザーが、実は油脂も使用していたとの気付きがあったことで、ニーズ対応やソリューション提案を行う場面が増えてきた。お客様より宿題や課題をいただき、新しい提案や解決策をお持ちすることにより、提案営業の知見が高まってきている。

これまでの大豆油や菜種油、さらにこめ油とコーン油と油種が増えたこと、そして事業横断的な営業組織となったことで提案の範囲が広がったことは、当社独自の製油事業ポートフォリオの構築に繋がっていくと考えている。

現在は、その一歩を踏み出した段階にあるが、商品や営業活動の検証を重ねることで、商品開発や販促の精度は、これから高まってくると考えている。

――足元のコスト環境は

4月からの価格改定を発表したが、中東紛争がコストアップに拍車をかけており、次の価格改定も視野に入れざるを得ない状況にある。油脂原料穀物は相場品であり、エネルギーコストも上昇し、物流費も資材関係も全て上昇している。厳しいコスト環境は、十分にご理解いただいているので、丁寧にお願いしていくしかない。

――26年度の方針を

現状をふまえれば、第1四半期における4月の価格改定の進捗は、大きなポイントと考えている。

今期の計画を作ったのは1月頃で、その時点での価格改定の遅れを第1四半期内で取り戻すイメージを持っていたが、中東紛争で見通しが難しくなった。まずは、現在発表している価格改定をお願いすることが最優先と考えるが、今後の状況を踏まえれば、さらなる改定をお願いする可能性もあり、状況説明を行いながら丁寧な交渉を行っていく。

そして、こめ油とコーン油の磨き込みを行っていくことだ。2月に発表した新長期ビジョンと「中期経営計画26-29」の中でも、こめ油とコーン油を付加価値製品として取り組んでいくことを掲げている。昭和産業単体だけではなく、ボーソー油脂や辻製油とも連携しながら、厚みを持って取り組んでいく。

――機能性油脂について

半流動性油脂は設備増強を図りつつ、2ケタ成長が続いている。炊飯油「こめコート」なども堅調な販売が続いており、機能性油脂全体でも伸長が続いている。もちろん、こめ油とコーン油から展開する機能性油脂の検討も始めている。

〈大豆油糧日報 2026年4月27日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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