飲料メーカーが森を守る理由 コカ・コーラシステム、埼玉県飯能市と協定 約300haで水源保全

飯能市 新井市長、日本コカ・コーラ 田中副社長、コカ・コーラ ボトラーズジャパン 小林統括部長
飯能市 新井市長、日本コカ・コーラ 田中副社長、コカ・コーラ ボトラーズジャパン 小林統括部長

日本コカ・コーラとコカ・コーラ ボトラーズジャパンは7月28日、埼玉県飯能市と、多摩工場(東京都東久留米市)周辺流域の水資源保全を目的とした森林保全協定を締結した。飯能市内の市有林約300ヘクタールで、2027年から2035年にかけて間伐やニホンジカの食害対策などを進める。

対象となるのは、飯能市の白岩・山中エリアにある市有林298.01ヘクタール。林野庁の試算モデルによると、対象森林が1年間に蓄える水の量は約173万立方メートルに上る。埼玉県民約732万人の1日分の生活用水を上回る水量である。多摩工場周辺流域での協定は、2023年6月に締結した山梨県丹波山村、東京都八王子市に続く3件目となる。

活動では、手入れが不足しているスギやヒノキの人工林を間伐し、針葉樹と広葉樹が混じる「針広混交林」への転換を進める。ニホンジカによる下草や苗木の食害対策を講じるほか、民家や道路付近の危険木の伐採、下草の管理、活動状況のモニタリングにも取り組む。

森林も、木が植えられていれば十分というわけではない。樹木が密集し、間伐などの手入れが行き届かない人工林では、林内に光が届かず、下草が育ちにくくなる。地表がむき出しになると土壌が流出し、雨水を蓄えてゆっくり川へ流す森林の働きが弱まる。

適切に手入れされた森林では、下草や土壌が雨水を受け止め、時間をかけて河川へ流す。日本コカ・コーラ広報・渉外&サステナビリティ推進本部副社長の田中美代子氏は、「水の問題は単なる環境問題ではなく、社会システムそのものの問題だ」と指摘。「水を使わせていただく企業である以上、水を守る責任がある」と強調した。

コカ・コーラは、製品に使用した水量の100%以上を、水源保全活動などを通じて自然と地域社会へ還元する目標を掲げる。2015年以降、世界全体で目標を達成し、2024年の水源涵養率は157%以上となった。日本での具体的な涵養率は公表していないが、田中氏は、世界平均を大きく上回る水準にあると説明した。

国内では、コカ・コーラシステムが展開する22工場すべての周辺流域で水源涵養活動を行っている。地域の自然環境や課題に応じて、森林保全のほか、草原保全、湿地復元、水田湛水などに取り組む。

コカ・コーラボトラーズジャパン 周辺流域での涵養活動(対象拠点17工場、対象流域15流域)
コカ・コーラボトラーズジャパン 周辺流域での涵養活動(対象拠点17工場、対象流域15流域)

コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、製造工程で使う水の削減や再利用、排水管理も進めている。同社SCM本部QSE&サプライチェーンエクセレンス統括部長の小林克徳氏によると、多摩工場では、製造に使う水の原単位を約33年前の半分程度まで減らしたという。

小林氏は、入社当時に先輩社員から聞いた言葉として、「河川に放流している以上、河川の水よりも品質の良い水にして、しっかり浄化して放流していく。それがわれわれの矜持だ」と紹介。「今でも胸に置き、水を減らし、きれいにして放流する活動を継続している」と述べた。

飯能市白岩・山中エリアでは、手入れ不足のスギ・ヒノキ人工林やニホンジカの増加による食害が課題に
飯能市白岩・山中エリアでは、手入れ不足のスギ・ヒノキ人工林やニホンジカの増加による食害が課題に

飯能市は市域の約75%を森林が占め、その約82%がスギやヒノキの人工林となっている。一方、今回の協定対象地は天然林が75%、人工林が25%を占める。対象地では人工林の手入れ不足に加え、ニホンジカが下草を食べることで地表が露出し、土壌の流出などが起きているという。

飯能市の新井重治市長は、「水源涵養機能はもとより、災害防止機能、生物多様性保全機能を中心とした森林の持つ公益的機能の発揮を目指す」と説明。「次世代へ豊かな水や森を継承し、上流域の自治体としての責任を果たしていきたい」と語った。

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昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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