マックフライポテト、新品種の採用まで10年以上 「変わらないおいしさ」支える気候変動対策

原料ポテトの安定供給に向けた取り組みを紹介した展示。品種開発や土壌の健全性、水の効率利用、生物多様性を柱に掲げる
原料ポテトの安定供給に向けた取り組みを紹介した展示。品種開発や土壌の健全性、水の効率利用、生物多様性を柱に掲げる

マックフライポテトの「変わらないおいしさ」を守るため、新たなジャガイモの品種を採用するまでに10年以上かかることもある。

日本マクドナルドが9月16日に開いた全国の店長やフランチャイズ法人のオーナー、サプライヤーなどマクドナルドファミリー向けの社内イベント「Japan Smile Convention(JSC)2026」では、主要サプライヤーの1つであるマッケイン・フーズ社が気候変動に対応した品種開発や再生型農業を紹介したほか、日本マクドナルドが店舗での使用済みフライオイルの再資源化について説明した。

原料ポテトのセッションには、マッケイン・フーズ社の北米西部地域農業担当ディレクター、ジェイソン・コーテス氏が登壇した。

原料となるジャガイモの生産現場では、天候の予測が難しくなっているほか、生産コストの上昇、農地の確保、環境規制の変化など、安定供給を取り巻く環境が変わっている。

原料ポテトの品種開発について説明したマッケイン・フーズ社のコーテス氏
原料ポテトの品種開発について説明したマッケイン・フーズ社のコーテス氏

コーテス氏は、新品種の開発について「目的はマックフライポテトを変えることではない」と説明した。現在の品質を維持し、「変わらないおいしさ」を守りながら、変化する環境でも安定した収量を確保できる品種を増やしていく考え。新品種には品質に加え、環境への耐性や、農家とサプライチェーンにとっての経済性なども求められる。

新品種の採用までには多くのステップを踏む。まず農場で、気候条件の変化への耐性や、水、栄養分の利用効率などを検証する。その後、工場で品質の安定性や大量生産への適性などを確認。耐病性を含む品種特性や最終製品の品質基準を満たすかを検証し、さらに消費者テストを実施。従来のマックフライポテトと比べて食体験が変わらないことや、同じ品質を安定して再現できるかを確かめる。

〈10年、20年先を見据え再生型農業〉

会場には、北米西部のポテト農場を再現したジオラマも展示した。

マッケイン・フーズ社では、10年、20年先も原料ポテトを安定供給するため、環境再生型農業(リジェネラティブ・アグリカルチャー)を進めている。軸となるのは「土壌の健全性」「品種改良」「水の効率利用」「生物多様性」の4つだ。

北米西部の大規模農場では、「センターピボット」と呼ばれる灌漑設備を使う。半径約400mの設備が畑を回り、AIやセンサーで得たデータをもとに、水や農薬、肥料を必要な場所に必要な量だけ散布する。

なお、センターピボット(新幹線約16両分の長いスプリンクラー)によって、軸を中心に円形状に効率よく水を撒くために畑が円形になっている。

土壌を維持するため、収穫後に別の作物を植えて地表を覆う「カバークロップ」や輪作も取り入れている。北米西部では同じ土地で毎年ジャガイモを栽培するのではなく、おおむね4年に1回とし、その間に小麦、アルファルファ、トウモロコシ、大豆などを栽培する。

マッケイン・フーズ社は世界3カ所の実験農場でこうした農法を検証し、実際の大規模農場でも有効かデータを取った上で、生産者と協力して導入を進めている。

ジャガイモは輸送時に傷が付くと品質に影響するため、加工工場には周辺のおおむね80~100km圏内の畑から運び込むという。マッケイン・フーズ社は世界にマックフライポテトを製造できる21工場を持ち、日本向けは北米から輸入している。

〈使用済み油を飼料化〉

使用済みフライオイルなどのリサイクルを紹介した展示。2025年の食品リサイクル率は72.4%
使用済みフライオイルなどのリサイクルを紹介した展示。2025年の食品リサイクル率は72.4%

原料ポテトの安定供給に加え、店舗で使い終えたフライオイルの再資源化も進めている。

日本マクドナルドの2025年の食品リサイクル率は72.4%。食品残さ、コーヒー豆かす、ポテトの揚げかすなどを飼料や肥料、燃料として再利用している。使用済みフライオイルのリサイクルは、ほぼ全店で実施している。

国内では、スーパーや飲食店などから年間約38万tの廃食用油が排出され、このうち約18万tが飼料用として使われている。登壇した廃油リサイクル事業者によると、その約12%がマクドナルド由来で、主にブロイラーなどの飼料用油脂として利用されている。

一方、近年は廃食用油を原料とするSAF(持続可能な航空燃料)への需要が高まり、廃油の価格が上昇している。なお、マクドナルドの使用済みフライオイルはSAFには利用していない。マクドナルドでは、店舗から出た使用済み油を産業廃棄物として扱い、許可を持つ事業者が回収し、処理施設で再生している。