ミネラルウォーター市場、容量・容器で差別化進む 無色透明の水に新価値

各社の製品(左から)「サントリー天然水 375ml」「アサヒ飲料 おいしい水 天然水 シンプルecoラベル 600ml」「い・ろ・は・す 540ml」「クリスタルガイザー 700ml」
各社の製品(左から)「サントリー天然水 375ml」「アサヒ飲料 おいしい水 天然水 シンプルecoラベル 600ml」「い・ろ・は・す 540ml」「クリスタルガイザー 700ml」

ミネラルウォーター市場が底堅い。2025年のミネラルウォーター類の国内生産と輸入合計の年間販売金額は前年比3.1%増の約5057億円となり、金額ベースで過去最高を更新した(日本ミネラルウォーター協会調べ)。2026年1~3月も好調に推移したもようだ。水は本来、無色透明で味の差別化が難しい。価格改定が続く中、大手各社は成長に向け、水にどう「選ばれる理由」を与えるかに知恵を絞っている。

〈持ち歩き需要に対応〉

その背景には、生活者の水の使い方の変化がある。サントリー食品インターナショナルが2025年9月に1000人を対象に行った調査では、10~30代で「出かけるときに水を持ち歩く」割合がいずれも65%以上と高く、若年層を中心に小容量・中容量のパーソナルサイズ需要の広がりがうかがえる。各社はこうした変化を捉え、単に喉の渇きを潤すだけでなく、持ち歩きやすさや分別しやすさ、場面に応じた使いやすさまで含め、水の価値を磨いている。

象徴的なのが、サントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水」だ。2024年に容器形状を刷新した1Lに続き、2026年は375ml商品を加えた。少量を持ち歩きたい層や、バッグに収まりやすいサイズを求める層に向けた提案で、容量の違いを単なる大小ではなく、生活者ごとの使い方の違いに応える価値として打ち出している。

〈容器やラベルで差別化〉

アサヒ飲料は「アサヒ おいしい水 天然水」で、ラベルをはがしやすい「シンプルecoラベル」を差別化の柱に据える。環境配慮であると同時に、分別時の手間を少なくする使い勝手の提案でもある。2026年はラベルデザインを刷新し、キャンペーンも通じて認知拡大を図る。さらに、同ブランドは白湯や無糖レモン水といった広がりも見せ、温度帯や飲みやすさの違いを価値として提案している。

コカ・コーラシステムの「い・ろ・は・す」も、容器そのものの体験価値を磨いてきたブランドだ。飲みやすさやつぶしやすさ、手に取りやすさといった工夫を重ねながら、環境配慮や水源保全活動も訴求してきた。今年は、日常の多様な購入接点でポイントがたまる施策も始め、ブランドとの接点拡大を図っている。暮らしのどんな場面でも自然に選ばれる存在を目指す。

大塚食品の「クリスタルガイザー」は、いち早く700mlという大きめのパーソナルサイズを独自価値として育ててきた。500mlは物足りず、2Lは多いという需要に応える「ちょうどいい大きさ」が支持され、ブランドを牽引する商品に成長している。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、紙製飲料容器のカートカンを通じて環境対応型の容器価値を訴求。同社製品は企業の来客用などで活用が進んでいる。

伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズの「エビアン」も2026年にブランド誕生200周年を迎え、若年層との接点強化や販促施策によりユーザー拡大を狙う。

〈備蓄需要にも広がり〉

備蓄需要の広がりも市場の土台を支える。アサヒ飲料などでは長期保存可能な商品も展開している。日常品であると同時に、備えの対象としても定着しつつある。

ミネラルウォーター類 国内生産、輸入の推移
ミネラルウォーター類 国内生産、輸入の推移

かつてミネラルウォーターは、採水地や安全・安心をどう伝えるかが主戦場だった。それは現在も変わらない。ただ、選択肢が広がる中で、各社は新たな価値創造に取り組み、容量、容器、分別のしやすさ、飲みやすさ、温度帯といった切り口で「使う場面に合った価値」を上乗せしようとしている。2026年のミネラルウォーター市場では、無色透明の水にどう価値を与えるかという競争が一段と鮮明になっている。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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