事業系ペットボトルの品質向上へ 全清飲とMUFG、大型ビルでボトルtoボトル実証
全国清涼飲料連合会(全清飲)と三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、事業系ペットボトルの分別品質向上に向けた実証実験を始めた。三菱UFJ銀行大阪ビルと同名古屋ビルで、使用済みペットボトルの回収ルートをMUFGの管理下に一元化する。飲み残しをなくし、キャップとラベルを外して排出するルールを徹底し、水平リサイクル「ボトルtoボトル」に適した回収品質の確保を目指す。

全清飲は5月19日、三菱UFJ銀行大阪ビルで説明会を開き、MUFGに感謝状を贈呈した。「ボトルtoボトル」推進事業者への感謝状贈呈は今回が初めてで、MUFGが第1号となる。
【2030年50%へ、事業系回収が課題に】
全清飲は2021年に「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」を掲げ、清涼飲料業界全体で水平リサイクルの拡大を進めてきた。使用済みペットボトルを再びペットボトルに戻すことで、新たな化石由来原料の使用を抑え、CO2排出削減にもつなげる。日本のボトルtoボトル比率は、2024年時点で37.7%まで上昇した。
一方、目標達成には飲料メーカーだけでなく、企業や自治体、消費者など幅広い関係者との連携が欠かせない。特に課題となっているのが、オフィスや商業施設、自販機周辺などから排出される事業系ペットボトルの品質向上である。
ペットボトルの回収量は年間72万3,000tで、家庭系が46%、事業系が54%を占める(PETボトルリサイクル推進協議会「年次報告書2025年」)。家庭系は比較的きれいに分別される一方、事業系では異物混入や分別不十分が課題になりやすい。ボトルtoボトルに回すには、回収段階でペットボトルをできるだけきれいな状態で集める必要がある。
森本真治専務理事は、事業系ペットボトルの課題について「キャップが付いたままだと異物が残りやすく、水平リサイクルに回りにくくなる。キャップを外し、ラベルを剥がし、何より飲み残しをなくしてもらうことが非常に大事だ」と説明した。分別品質が高まれば、ボトルtoボトルに回る比率の向上につながるとの考えを示した。
【自販機横ボックスを撤去、回収を一元化】

今回の実証では、三菱UFJ銀行大阪ビルと名古屋ビルの全館から排出される使用済みペットボトルを対象とする。大阪ビルは本館地上21階、別館地上18階で在館者数は2,744人。名古屋ビルは地上10階で在館者数は2,054人。ペットボトルの年間排出量は、大阪ビル、名古屋ビルともに各8tを見込んでおり、両ビル合わせて年間16t規模となる。
両ビルでは、自動販売機会社が設置していた自販機横のリサイクルボックスを撤去し、MUFGが管理するリサイクルボックスに回収を集約する。従来は自販機会社ごとに回収ルートが分かれていたが、MUFGの管理ルートに一元化することで、分別ルールを統一し、回収物の品質を管理しやすくする。
森本専務理事は、MUFGを第1号とした理由について「事業所でボトルtoボトルを進める企業は増えているが、今回は自販機横のリサイクルボックスをすべて撤去し、ビル内で排出されるペットボトルを一元管理する点が新しい」と述べた。自販機横の回収物は、通常、各飲料メーカーのオペレーターがそれぞれ回収する。そのため、ボトルtoボトルにつながるかどうかは回収ルートによって異なる。今回の仕組みでは、より多くのペットボトルを水平リサイクルに回すことを狙う。
大阪ビルでは、自販機会社設置のリサイクルボックス45台を撤去し、現在はMUFG管理のリサイクルボックス40台で運用している。名古屋ビルでは18台を撤去し、現在は24台で運用する。大幅にリサイクルボックスを増やすのではなく、回収頻度を上げることで対応している。大阪ビルは2026年1月から、名古屋ビルは同年3月から新たな運用を始めた。
【効果と経済合理性を検証】
MUFGは、“中期経営計画2024-2026″で「社会課題の解決」を経営戦略と一体化させている。優先的に取り組む課題として「カーボンニュートラル社会の実現」や「循環型経済の促進」などを掲げ、自社の排出削減や廃棄物削減に取り組んできた。
資源循環の取り組みでは、2024年11月に東名阪の大型ビル6拠点でサントリーグループと連携し、使用済みペットボトルの水平リサイクルを開始した。2025年11月には、三菱UFJ銀行の関東エリア134店舗を対象に、キリンビバレッジと連携する取り組みを発表した。
今回の大阪ビル、名古屋ビルでの実証は、2024年に始めた大型ビルでの取り組みを一歩進めるものとなる。これまではMUFG管理のリサイクルボックスと自販機会社設置のリサイクルボックスが並走していたが、今回、自販機横のボックスを撤去し、MUFG管理のリサイクルボックスに一本化した。
MUFGの鍬塚翔子上席調査役は、取り組みの背景について「自社の取り組みと同時に、ステークホルダーの皆様が目指す社会課題解決を支援したい」と説明した。ペットボトルは社員にとって身近なものであり、分別行動を通じて社員の環境意識の醸成にもつなげる考え。
実証では、取り組み前後のボトルtoボトル実施率の変化、CO2排出削減量、回収・運搬コスト、運用面での経済性、社員の認知率や理解度、行動変容などを検証する。鍬塚氏は、特に重視する項目として効果の見える化と経済合理性を挙げ、「経済合理性がないと持続的にはならない。効果と経済合理性の2つをしっかり検証していきたい」と話した。

社員への啓発では、全清飲が社員向け動画や分別促進ステッカーなどを提供する。MUFGによると、対象2ビルでは2024年度から段階的に啓発を進めてきた。開始当初は分別の定着に課題もあったが、分かりやすい掲示や繰り返しの周知により、今回の回収ルート一元化は比較的スムーズに移行できているという。
【商業施設などへの横展開も視野】
今後は横展開も視野に入れる。森本氏は「オフィスの事業者だけでなく商業施設などにも広げ、賛同者を増やしていきたい」と述べた。感謝状については、認定制度というより、協力事業者への感謝を形にする取り組みと位置づける。「できるだけ賛同いただけるところに広げていきたい」と語った。

現地視察では、MUFGが設置したリサイクルボックスや分別促進の掲示物が確認された。担当者によると、館内のペットボトルは毎日回収されており、視察時点ではペットボトル、キャップ、ラベルが分別された状態で排出されていた。
全清飲は、今回の実証で得られた結果をもとに、事業系ペットボトルの回収品質向上に向けた事例共有や情報発信を進める。清涼飲料業界が掲げる2030年のボトルtoボトル比率50%に向け、飲料メーカーだけでは進めきれない領域で、オフィスビルや商業施設など事業系回収の改善が重要性を増している。







