キリン「生茶」、なぜ“濃い系”ではなく“熟成”なのか 最大2年寝かせた茶葉で新提案
キリンビバレッジは10月13日、半年から2年間低温保管した「寝かせ仕込み茶葉」を一部使用した「キリン 生茶 熟成」を全国発売する。スタンダード緑茶の「飲みやすさ」、濃い系緑茶の「苦渋み」とは異なる、芳醇な香りと深いうまみ・コクを提案。「味や香り」を求めながら既存の緑茶では満たされていない層に向け、新しいおいしさを提案する。
物価高を背景に、価格だけではなく支出に見合う価値を求める意識が高まる中、同社は無糖茶に求められるニーズを「飲みやすさ」「健康」「味や香り」の3つに大別。推計人数は「飲みやすさ」が4400万人、「健康」が2700万人、「味や香り」が2500万人とした。
一方、スタンダード緑茶から離れる理由としては「味や香りへの不満」が大きく、手淹れやマイボトルなど清涼飲料以外にも需要が流れていると分析。同社は、こうした清涼飲料外の市場を500mlペットボトル換算で推定600万箱規模とみる。
同社は、お客様が緑茶に求めていることを改めて探ると、「せっかく買うなら、おいしいお茶を飲みたい」というお客さまの太いインサイトがあることを発見したという。
そして、スタンダード緑茶には「すっきり飲みやすい一方で満足感が弱い」、濃い系緑茶には「味は濃いが、苦みや渋みが強い」と感じる消費者がいると分析した。単に濃いお茶ではなく、お茶そのものの香りやうまみを楽しみたいという未充足ニーズがあると捉え、その受け皿として「熟成」というコンセプトに着目した。
マーケティング部の齊藤裕吏氏によると、商品開発では濃い系緑茶のような方向性も選択肢として検討した。ただ、チーム内で「それは生茶らしい提案なのか」と議論を重ねたという。
生茶は2000年の発売時、それまでの「渋みが強い」「家で飲むもの」といった緑茶のイメージに対し、「生」という新鮮なイメージと、茶葉のうまみや甘みという新しいおいしさを提案した。今回も既存商品の延長ではなく、これまでにない「第三の切り口」を探ることが生茶らしいとの考えから、熟成という価値にたどり着いた。
市場が苦みや健康といった価値に寄る中で、同社は「本当においしいお茶」を正面から提案する考えだ。齊藤氏は、すっきりしたスタンダード緑茶か、苦渋みの強い濃い系緑茶かという二択に対し、「深いうまみ」という新しいおいしさを提案したいとする。
同社の商品開発研究所の和田宏美氏によると、「生茶 熟成」は構想から商品化まで2年半以上をかけ、130品以上を試作した。「寝かせ仕込み茶葉」は、この商品のために新たに開発した原料で、仕上げた茶葉を半年から2年間低温保管する。複数の茶葉とブレンドすることで、まろやかさやコクを引き出し、芳醇な香りと深いうまみを持ちながら、苦渋みが強すぎず、日常的に飲み続けられる味わいを目指した。
開発に時間を要したのは、「熟成」という価値にたどり着くまでの探索と、そのコンセプトに見合う味を実際の商品で表現する中味開発の双方だった。齊藤氏は、「寝かせ仕込み茶葉」の開発やブレンド設計に時間をかけたと説明する。
「熟成」という言葉には、時間や手間をかけたイメージや、時間をかけることでうまみが深まる印象があるという。そうした期待に応えるおいしさとして、寝かせ仕込み茶葉を味づくりの重要な要素に位置付けた。
パッケージは濃紺を基調に、「熟成」の文字と金色の雫をあしらった。重厚感に寄り過ぎず、生茶らしい軽やかさや手に取りやすさも残した。
プライベートブランド(PB)の伸長や物価高、値上げが進む中、齊藤氏は生茶ブランドの存在意義について、これまでになかった新しいおいしさやお茶の楽しみ方などの価値を提案することにあるとの考えを示した。「他では飲めないおいしさ」を打ち出し、素材や容量、価格だけに頼らない価値を提案していく。

発売時には流通企業での試飲提案も進め、交通広告やデジタル施策も活用して認知拡大を図る。同社は、「飲みやすさ」への期待に応える「生茶」、「味や香り」への期待に応える「生茶 熟成」「生茶 ほうじ煎茶」、健康ニーズに対応する「生茶 カフェインフリー」でポートフォリオを構築する。
齊藤氏は、スタンダード緑茶の縮小傾向は今後も続くとみる一方、需要をペットボトル緑茶の外へ流出させず、カテゴリー内に受け皿を設けることで市場を活性化したい考えを示した。
「キリン 生茶 熟成」は525mlペットボトル、希望小売価格220円(税別)で10月13日に全国発売する。同日、「キリン 生茶 ほうじ煎茶」をリニューアル発売し、「キリン 生茶 カフェインフリー」も新発売する。







