イトーヨーカ堂が6年ぶりの黒字転換、鮮魚専門店などが支持

イトーヨーカ堂
イトーヨーカ堂

イトーヨーカ堂では、惣菜や精肉での取り組みに加え、導入を進めている鮮魚の対面販売が順調に推移したことで、今年2月までの営業利益は2019年以来6年ぶりに最終黒字に転じた。実施店舗では未実施店と比べて売上は約1・5倍もの差があった。小売各社では惣菜に加えて、鮮魚などの対面販売を強化する傾向にある。価格競争が強まるなか、いかに来店意欲を高めて支持を獲得できるか。

〈鮮魚の対面販売が好調、売上は未実施店の約1.5倍〉

「12時から鮮魚売り場でマグロの解体を行います」。ベルの音を店内に響かせながら、従業員は言う。

6月18日、「イトーヨーカドー大森店」の鮮魚売り場でマグロの解体実演が行われた。この日用意されたのは、100kgほどの巨大なマグロ。訪れていた人々は、マグロの大きさに驚きながら、手元のスマートフォンで写真に収める。

マグロの解体実演
マグロの解体実演

解体が始まると、マグロのカマトロや頭などの希少部位が次々と切り分けられる。カマトロのかたまりは6000円と高価ながらもすぐに購入された。その後も中落ちや大トロなど様々な部位に分けられ、訪れた人は次々と購入していく。

イトーヨーカ堂では、鮮魚売り場で対面販売を行う店舗を増やしている。豊洲市場で買い付けた魚を店内で加工するため、鮮度感やライブ感を演出でき、着実にファンは広がりつつあるという。店舗によっては遠方から訪れる人もいるようだ。

売上は、未実施店と比べて約50%増加した。1人当たりの購入金額も10%近く増えている。26年2月末時点では約10店舗に設置しており、26年度内に25店舗での展開を目指している。

「厳しい事業環境でも取り組み次第で会社は変わるという実証ができたと、力強く感じている」。6月18日に行われた業績説明会の中で、石橋誠一郎社長は自信をのぞかせた。

〈6年ぶりに最終黒字、食品分野の強化などが奏功〉

イトーヨーカ堂の業績は、6年ぶりに最終黒字となるほどに改善した。不採算店の閉鎖に加え、自主アパレルからの撤退や店舗や本部でのコスト削減などに取り組んだ。同時に、惣菜の強化や鮮魚などの対面販売など、既存店の魅力を高めるべく食品分野の強化を図った。その結果、既存店の売上は昨年比で3%増、営業利益は約9倍と大きく改善している。

今年3月に実施したインタビューの中で、石橋社長は「元々イトーヨーカ堂は惣菜や生鮮の品質で評価されている。ここはしっかりと取り組んでいく」と語っている。

デリカでは、セントラルキッチンやプロセスセンターなどを併設した工場「PEACE DELI(ピースデリ)」を稼働させ、惣菜の売上構成比を、現状の約13%から15%まで引き上げることを目指している。

品質の向上に加えて安定供給を実現できているほか、店舗のオペレーション改善にも貢献している。また、惣菜のブランドを「YORK DELI」に統一したところ、各カテゴリーで売上が伸長したほか、荒利率の改善も見られた。

イトーヨーカ堂
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精肉でも一頭買いした牛を店内で加工し、鮮度感を演出している。売上は未実施店よりも7%増、客単価は4%増加した。26年度内には10店舗での展開を予定している。
今後は、店舗改装や低価格のプライベートブランド商品の展開などを強め、さらなる成長を狙う。

3月のインタビューで、石橋社長は「店舗の最大の魅力は食品。この土台を強くすることはさらなる魅力の向上につながると考えている」と話す。加えて「店舗は、年数が経つと時代とのズレや、お客様の飽きなどで魅力度が下がってしまう。食品の売り場などを変化させることは、お客様にとっての魅力を高めることにつながるのでは」と述べた。

スーパー各社では惣菜を強化する動きが続いている。鮮魚の対面販売を強める傾向もある。この状況でイトーヨーカ堂はどのように差別化を進めるのか、今後も注目だ。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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