日清食品冷凍、売場装飾「ラーメン横丁」でラーメン提案継続、新商品「日清まぜ麺亭 ニンニクまぜそば」「こく旨醤油の極太まぜ麺」などでブランド増強図る

日清食品冷凍は2023年春夏の戦略として、2022年秋冬から取り組んでいる「ラーメン横丁」という取り組みの提案を継続するほか、パスタなどのブランド強化、原価高騰への対応を進める。

「ラーメン横丁」は売場でラーメン商品を目立つよう提案し、売上の拡大につなげる取り組みだ。節約意識が強まりつつある中、商品を指名買いしてもらえるようにする。

〈市場は継続的に伸長 一方で節約志向も〉

同社が算出した2022年4月~12月の市場動向は、市場平均が前年同期比で3%増となった。冷凍麺全体では5%増で、カテゴリー別で、ラーメンは6%増、パスタは3%増、和風麺は5%増となっている。

日清食品冷凍における2022年4月~12月の販売状況は、全体では市場の平均を上回った。ラーメンは、「日清本麺」シリーズや、「沖縄風ソーキそば」、新製品の「日清ごくり。」シリーズが好調だったものの、競合の冷やし中華が市場をけん引した影響もあり、市場の推移と同等の伸びだった。パスタは市場平均を上回った。中でも「スパ王プレミアム」シリーズが前年同期比で18%増と好調だった。

2月2日に行われた新製品発表会で、市場動向についてマーケティング部次長の石川和之氏は「上期(4~9月)の冷凍麺市場は、前年の反動や価格改定があった中で前年比2%減だったが、10月に入りPB(プライベートブランド)商品や個食麺類、玉うどんが順調に推移している」と話す。

その理由の1つを、「物価高騰で消費者の節約志向が高まり、目に見えて節約を実感できる食事や食品を節約するようになりつつあるのでは」(石川氏)と分析する。量や質は同じで、価格は安い商品に切り替えることがあるようだ。また、外食を控えて、惣菜や冷凍個食商品の利用などにシフトしつつあるという。一方で、好きな商品・ブランドは価格が上がっても優先的に買い続ける傾向にあり、ブランド力の有無で売れる商品と売れない商品の二極化が進む可能性がある。

そこで、指名買いされるようなブランドに育てるため、「ラーメン横丁」の取り組みを継続するほか、汁なしラーメンの活性化のためにまぜ麺ブランドを強化する。パスタや和風麺は新商品の投入や商品リニューアルを進める。

〈汁なしラーメンは「まぜ麺」と「ばん麺」で訴求〉

「ラーメン横丁」は、スーパーの売場でラーメン店に入ったような雰囲気を演出することを目指しており、現在は10~20社の大型店を中心に展開している。取締役の中村稔営業本部長は「詳細な効果は収集しているところだが、実施した店舗では1.2~1.5倍の売上になったと聞く」と話す。ネットスーパーではバナー展開も実施している。この取り組みで、ラーメン商品の更なる拡販を目指す。

また、汁なしラーメンは日本生まれの「まぜ麺」と、中華料理として誕生した「ばん麺」に分けて展開を進める。「まぜ麺」は、油そばや、まぜそばなどを含み、「ばん麺」は汁なし担々麺や、ジャージャー麺、ビャンビャン麺などを指す。「まぜ麺」はジャンク感・背徳感を情緒的な価値とし、「日清まぜ麺亭」ブランドで展開する。「ばん麺」中華料理としての本格感や高級感を情緒価値とし、「日清中華」ブランドで訴求する。

3月1日に発売予定の商品は、女性と比べて冷凍食品の利用頻度が少ない男性の支持獲得を目指し「日清まぜ麺亭 ニンニクまぜそば」を投入する。また、中華とは異なるアプローチとして、うどんを使った和風系まぜ麺「こく旨醤油の極太まぜ麺」を追加する。

今後の市場は、少人数世帯の増加で「おひとり様消費」がより増えるとの予測もある。その中で、マーケティング部次長の石川氏は「個食ニーズは高まり、冷凍個食食品の需要は高まるはず。少人数世帯の需要に応えた商品を作っていきたい」と話した。

〈冷食日報2023年2月6日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
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