SOBO 冷凍自販機活用「FROZEN24」運営や「ゴリオモール」プロデュースなど展開、今後は商品補充のフルオペレーション体制進める

SOBO冷凍自販機無人販売店「FROZEN24」
SOBO冷凍自販機無人販売店「FROZEN24」

冷凍自販機「ど冷(ひ)えもん」を初めて設置し、冷凍自販機向けの商品の選定や開発などを進めているSOBO(東京都新宿区)。

冷凍自販機を使った様々なアイデアを送り出しており、自販機を活用した無人販売店「FROZEN24」の運営や、阿佐ヶ谷で「ゴリオモール」のプロデュースなども行っている。益川大平社長は「冷凍は面白い。本当に夢中になってしまった」と話す。冷凍自販機の将来性などを聞いた。

SOBO・益川大平社長
SOBO・益川大平社長

――国内で最初に冷凍自販機を導入した。きっかけは。

コロナ禍が大きい。餃子の専門店を運営していたが、新型コロナの感染拡大で客足が目に見えて減り、レジャー施設などの店舗を早い段階で閉店することを決めた。11店あった店を4店まで減らしたが、これが長引いたらまずいという考えもあり、餃子工場の前で冷凍餃子の販売を開始した。

販売は好調だったが、17時には閉店していたため、もっと長く売ってほしいという声を頂いていた。そこで、無人販売ができれば上手くいくのではと思い、自販機を作っている企業に連絡したところ、サンデン・リテールシステムさんがちょうど開発に着手していた。自社の冷凍餃子を売りたいと思っていたため、製品テストや保健所の見解を聞くなど、色々と一緒に取り組ませてもらった。そして、2021年の2月にようやく披露できた。当日は多くのメディアに取り上げられ、ネーミングとともに非常に注目された。

――現在の販売状況は

現在は商品のプロデュースや自販機の販売なども手掛けている。売上の9割は自販機関連で、売上的には外食店を展開していた時と同程度まで伸ばせたが、利益的にはもう少し増やしていければと思う。冷凍自販機を導入したいが商品を持っていない、というオーナーに対して提案できるようにしている。

我々の優位性は自販機の販売に加え、様々な商品を扱っていることだ。自社の餃子だけでなく、スイーツや「和顔」さんの牛たんなど、多彩な商品を持っている。オーナーの方に利益的なメリットを感じてもらえる形で継続したい。

――現在扱っているアイテム数と、設置台数は。

商品は100アイテムを扱っていて、商品はオンラインで発注できるようにしている。ただ、冷凍自販機用の梱包を行ってくれないところもあるので、シルバーライフと、商品の保管とピッキング業務を委託する契約を締結している。500台の自販機を販売しており、今後ガソリンスタンドなどスペースのある所に提案を進め、アイテムも年内には200品まで広げたい。

――現在の特徴的な取り組みは。

NTT東日本らと共同で、デジタルサイネージを使ったマーケティング効果の検証を行っている。デジタルサイネージを搭載した2台の「ど冷えもん」を使い実験している。立地や曜日、時間帯、年代などによる売上の違いも測定している。また、NTTとしては、防犯拠点や電波の発信基地にもなるのではという考えもあるようだ。飲料と異なり、冷凍食品はその場で喫食できないため、ゴミが出にくいほか、飲料よりも単価が高いというメリットも見られた。

――昨年には東京・阿佐ヶ谷で「ゴリオモール」を開業した。

「ゴリオモール」は東京・五反田にあるキングという会社がオーナーで、我々がプロデュースしている店舗になる。まだまだ売り込める余地はある。コンビニに行かなくてもさまざまな商品を購入できる店舗だが、地元での認知度が足りてないと感じており、よりPRに力を注いでいく。

――「FROZEN24」という無人販売店も手掛けている。

「FROZEN24」は自社で運営しており、実験店のようなものだ。元々自分たちが運営していた東京・大森駅前にあった飲食店を転換した形だ。話題性のある商品などを広くそろえており、他の企業からもやってみたいという声は頂いている。売れ筋の商品などの研究を進め、ビジネスとしてのパッケージを創り上げたい。

〈販売データなど活用 「ここにしかない」商品を〉

――冷凍自販機を販売する上で危惧していることはあるか。

多くはまじめに取り組んでいるが、ごく一部のところでは管理が行き届いていないところも確かにある。別の店で買った商品を詰め替えて販売しているところや、ちゃんとした冷凍を行っていないという事例もあると聞いており、いつか大きな問題を起こす可能性はある。それは自販機メーカーでも問題視していて、啓もう活動や何らかの認証制度の検討など、対策を進める方向で動いている。こうした取り組みを行わなければ、事故を起こした時に取り返しがつかなくなる。

――今後の取り組みと、自販機の展望は。

フルオペレーションで商品を供給できる体制の構築などを進めたいと思う。自販機のオーナーが商品を補充しているが、補充までやってほしいという要望も出ている。飲料の自販機と同じようなサービス水準を求められており、そこまでできるような体制を構築できればと思う。

また、「FROZEN24」は自営の店舗だからこそ、様々な実験ができている。魅力ある商品や、売れる場所・時間帯などのデータを集め、様々な展開ができればと思う。以前ならば設置を断っていた店舗でも、冷凍自販機の導入は徐々に進んでいる。そこで店舗にはおいていない商品も販売されるようになっている。業務用の食品卸に自販機商品の配達をお願いしていたが断られていた。それが今はやってくれるようになった。大きな変化だと感じる。

そうはいっても、自販機で冷凍食品を購入したことのない人の方がまだ多い。そうした人に買ってもらうためにも有名ブランドの商品や、ここでしか食べられないものといった付加価値のある商品で購入につなげたい。そこから、冷凍食品は美味しいということを伝えられればと思う。ここでちゃんとした商品を送り出せなければ、先々の発展は難しいと感じている。品質の高い商品を送り出すと共に、成功事例を増やしたい。

〈冷食日報2023年3月28日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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