【外食の冷凍食品】「ロイヤルデリ」新ブランドを2025年夏に追加へ、「ロイヤルホスト」の人気メニューも

「コスモドリア」
「コスモドリア」

ロイヤルグループで食品事業を担うロイヤル株式会社は、展開している冷凍食品「ロイヤルデリ」から派生する新ブランドを、2025年夏を目途に投入する考えだ。レストラン「ロイヤルホスト」で人気のメニューを商品化し、店舗を想起させるような展開を進める。他にも、同社の食品物販では「てんやのたれ」などの商品も展開しており、グループの飲食ブランドを感じられる展開を進めることで、「ロイヤルデリ」を含めた外販の認知向上と売上の拡大を図る。2025年度は24年度比で約2倍の売上を目指すという。

白岩雅博社長に冷凍食品市場の動向や現在の施策、今後の展開などを聞いた。

白岩雅博社長
白岩雅博社長

〈販売上位は『コスモドリア』や『ビーフジャワカレー』など店舗で人気メニュー〉

――冷凍食品市場をどう見ているか。

我々の分析では、コロナ前までの状況は業務用が50%以上を占める市場だった。しかし、コロナ禍に大きく構成は変わり、家庭用が伸びていると見ている。我々も着実に伸長している。

グループ内では、我々のセントラルキッチンで製造しているグループ向けの業務用食品は一部減少傾向にある中、「ロイヤルデリ」は着実な推移を見せている。2024年も昨年比では2ケタ増で推移した。ただ、「ロイヤルデリ」というブランドの認知はまだ不十分だと感じている。まだ成長する余地はあると思っており、新しい取り組みで広げられればと考えている。

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――新しい取り組みとは。

「ロイヤルデリ」から、新たに「ロイヤルホスト」を想起させるようなブランドの展開を進める。これまで「ロイヤルデリ」では、「本格洋食を中心に、世界中のおいしい料理を取り揃えた“フローズンミール”」という趣旨で商品展開をしてきた。家庭で活用される際、「ロイヤルホスト」を想起させると利用シーンが限定される懸念もあり、あえて「ロイヤルホスト」の名前は使わず展開を進めてきた。

そのため「ロイヤルデリ」は、これまでロイヤルグループが培ってきたブランドや、ロイヤルホストのフェアメニューなどで提供してきた世界の料理を中心に提供すべく、取り組んできた。

ただ一方で、現在は50品目以上を販売しているが、その中の上位10品は「コスモドリア」や「ビーフジャワカレー」といった「ロイヤルホスト」で販売している商品だった。「ロイヤルホスト」の認知は圧倒的に高いと実感させられた。また、コロナ禍ではレストランを利用できない時があり、そういった際に家庭でもレストランと同じ体験を楽しめるというのも良いなと、商品の販売傾向を見ていても感じられた。

そこで、2025年は「ロイヤルデリ」というブランドから、「ロイヤルホスト」を想起させるような展開ができればと思う。その一つとして、「ロイヤルホスト」で販売している商品を、今後は可能な限り上位の方から製品化していくことを検討している。

また、既存商品のリニューアルなども来年夏を目途に計画している。より「ロイヤルデリ」というブランドが伝わりやすくなるようパッケージも含めたさまざまな整理を進めている。

また、食品物販として、同じロイヤルグループの「てんや」の天丼のたれ、海老名サービスエリアのメロンパンなども販売している。来年以降はロイヤルデリ単体の冷凍食品ブランドではなく、ロイヤルグループの食品物販全体としてアピールしたいと考えている。

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――販売チャネルごとの売上比率は。

23年においては、グループ内の店舗での販売が売上全体の5割強を占め、ECは3割弱、外販は2割弱となっている。食事をされた後のお土産や、ECサイトではギフトとしても一定の評価をいただけている。

「ロイヤルホスト」の店舗内での販売だけでなく、東京都内や埼玉県内に30台自動販売機を設置している。主に、「三井のリパーク」の駐車場に冷凍自販機を置いて販売しているが、「ロイヤルホスト」の敷地内や、ロイヤルグループのホテル「リッチモンドホテル」でも一部で自動販売機を設置している。

一方で、「ロイヤルホスト」は現在、店休日を増やしているほか、営業時間が多くの店で22時もしくは23時までなので、せっかく来店されても利用できずにそのまま帰られる方も少なくなかったのではないか、と考えている。そこで現在、テスト的に4店舗でロイヤルホストの敷地内に冷凍自販機を設置し、商品の販売を行っている。

店舗の営業が終了した深夜や、営業前の早朝でも売れている。店舗の販売もしっかりと動いており、自販機を置いたところでは店舗内販売の売上を減らすことなく売上増につながっている。しかし、目標の売上にはまだ少し届いていないので、商品内容の見直しなど違う形での取り組みも必要になるのではと思っている。2025年はさらに追加で6台の導入を目指したい。

〈食品物販全体を中核戦略事業として展開へ〉

――ECでの販売状況は。

ECサイトの販売も堅調だ。新規会員登録数は2023年に比べ1.5倍となった。更なるブランド認知の向上は必要だが、着実な動きを見せている。 

――小売店での販売状況は。

販売店の数は少しずつ伸びている。最近ではスイートポテトなど数品を、一部エリア限定で大手コンビニの棚に置いてもらうことも決まった。スーパーでの販売も着実に伸びつつある。

――湯せん調理などをレンジ調理対応に変更することは検討しているか。

一部商品で進めつつある。今は電子レンジ調理に対応したスープの開発を進めており、そこから将来的にはカレーなどの展開もできればと思う。来年のリニューアル時にはひとまず販売できるようにできればと思う。

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――ワンプレート商品の展開は。

今後は、ピラフやオムライスなどの飯物は製品化が可能だと思っている。機内食で培ってきたノウハウがあるので、「ロイヤルホスト」のメニューを機内食の製造技術を活かしてワンプレートとして仕上げられると考えているので、そういう部分での検討も進めたい。来年には何らかの形で実現できたら良いと思っている。

――今後注力する取り組みは。

我々は食品物販全体を中核戦略事業としてテコ入れしていく。その中で最も重要になる取り組みが、冷凍食品の「ロイヤルデリ」だ。リニューアルや新商品の投入などを進めて、現在の売上から倍増できるよう進めていく。

また、ロイヤルグループの共通アプリ「MyROYAL(マイロイヤル)」との連携も来年以降に実施できればと思う。「ロイヤルホスト」、「てんや」での食事や「リッチモンドホテル」への宿泊で貯まったポイントを、ECで活用できるようにしたい。反対に、ECでの購入で貯まったポイントを食事などでも活用いただけるようにできればと思う。ポイントの相互利用のみならず、それぞれのブランドをつなぎ、より付加価値の高い顧客体験価値を目指す。

リニューアルも含めて、「ロイヤルデリ」における食品物販の認知をしっかりと高められれば、ECやスーパーなどでの外販での販売増にもつながっていくのではと考えている。

「ロイヤルホスト」が出店できているエリアは当然限定される。出店していないエリアにはEC販売で商品をお届けし、そしてお客様にロイヤルグループの商品がもっと届けられるように物販の展開を進めることも検討したい。

〈冷食日報2024年12月13日付〉

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創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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