【15年下半期の肉牛出荷見通し】黒毛和種は微減、交雑・乳雄は3%減少の見込み

家畜改良センターの個体識別情報から全国畜種別・月齢別飼養頭数をもとに下半期の肉牛出荷を推測すると、黒毛和種は8月から12月までおおむね前年よりも1~2%程度少なく、交雑種と乳用種はそれぞれ3%程度下回りそうだ。黒毛和種に関しては、前年同期よりは若干、減少幅が縮小されるものの、3連連続で前年の出荷実績を割る見込み。交雑種は前年割れに転じ、乳雄は4年連続で昨対割れが続くことになる。ただ、交雑種に関しては年明け以降、出荷はやや回復する見通しだが、依然肉牛全体としてはタイトな出荷状況に変わりはない。

6月末現在の黒毛和種の全国飼養頭数のうち、夏から年末にかけて出荷時期を迎える22~27カ月齢の頭数は23.8万頭となっている。これは、前年同月末の24.1万頭に対して1%少ない水準だが、10年は27.5万頭だったことから、5年前に比べると14%も少ない水準にある。また月齢別では27カ月齢が前年同月比で0.8%増となっているものの、それ以外は1~3%程度下回っている。もちろん、これらのなかには年末の需要期に向けて早出し出荷や、繁殖および種雄牛への仕向けのための保留も含まれてくるため、数字は前後するが、概ね1~2%程度少ない出荷となりそうだ。

交雑種は、19カ月から24カ月齢の飼養頭数が10.4万頭で前年を3%下回っており、2年連続で前年割れとなった。うち21~24カ月齢は前年同期に比べて1~17%少ないものの、16~20カ月齢に関しては2~9%上回っている。13年から乳用種への黒毛和種交配率が高まり出しており、そのことが飼養頭数に現れて来年1月以降、出荷頭数はやや回復してくるものとみられる。これに対して乳雄は12~17カ月齢の頭数が9.2万頭で前年同期から3%下回っている。月齢別では12カ月齢が7%増、15カ月齢が10%減とバラツキが激しいが、同月齢間の頭数は12年以降、4年連続で10万頭を割っている。酪農経営の戸数減少や交雑種の交配率の増加に加えて、北海道を中心に雌雄判別精液を利用した人工授精が増えていることから、乳雄の出荷が増加に向かうのは時間がかかるとみられる。