12月の牛肉需給展望 和去A3は50円高2,500円前後か、A5も50円前後の上昇

[価格見通しなど]15年11月の東京食肉市場の規格別の価格(消費税8%込み)は、和去A5で前月比102円高の2,764円、A4は131円高の2,584円、A3で108円高の2,451円、A2で84円高の2,324円と、和牛去勢は各等級で大幅に上昇した。交雑去勢B2は10円高の1,612円、乳去B2は26高の1,149円と上昇となった。

10月に2,600円台の半ばまで上昇したA5は、ついに2,700円台の半ばとなった。またA4の上昇幅が大きいが、これはA3の高値と数量が少ないことで、出荷頭数が少しでも多い4等級に手当てがシフトしたことが要因とみられる。

実際の量販店など末端での販売は好調ではないが、11月の出荷頭数が概算で成牛合計で前年同月比11%減少、和牛で14%減少した中で、外食向け、インバウンド、上位等級での輸出など最低限の手当てをする中で実需以上に相場が上昇したとみられる。また、12月の高値を見据えて、各社が早めの手当てをしたとも考えられる。11月の段階でここまで上昇したことで12月の相場展開とともに、今後、長期の高値相場による消費への影響を懸念する声が多い。

12月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は0.8%増の11万300頭、1日当たりの出荷頭数では1.5%増を見込む。また、当然ながら需要期に向けて出荷も増えてくることで11月の出荷を上回る見通しだ。

需要面では、寒さが強まったことで鍋物需要がようやく本格化、外食関連も好調だが、相場がここまで高いなか、量販店で極端に販売数量が増えることは考えづらい。さらに、卸関連としても、この需要期で利益をとれなければ儲けることができず、赤字を出してまで販売することはできない。

これらを踏まえれば、12月は年末手当てが入ることで上昇するものの、早めの手当てが行われていることで、A5~A3で50円程度の上昇にとどまり、交雑種、乳用種は11月並みの水準と見込まれる。月間平均では、和去A5で2,800円前後、A3で2,500円前後、また交雑去勢B2は1,600円前後、乳去B2は1,150円前後が見込まれる。