熊本地震・「被害は相当数に上る」もよう、被災状況下でままならない情報収集

余震が頻繁に続く熊本県。道路崩壊に伴う交通網の寸断やライフラインの停止など日常生活への影響が深刻となるなか、畜産業をはじめ被害状況の情報収集が予想以上に困難を極めている。同県が18日現在の情報として公表した被害状況によると、畜舎8棟の倒壊を確認しているものの、「事実を確認している段階の被害情報は、相当数に上る」(県畜産課)と、被害規模拡大の可能性を示唆する。ライフラインが復旧するまで、今回の被害の全体像をとらえるのは難しい情勢だ。

政府現地対策本部会議・県災害対策本部会議が19日午前に開かれ、同日現在の熊本地震に伴う農業関係の被害状況が報告された。畜産関係では畜舎の倒壊が8棟、それによる家畜の圧死5頭となっている。情報筋によると、倒壊した畜舎のほとんどが肉用牛農家だったようだ。そのほか、ハウス施設37件、野菜選果場12件などの施設の一部破損による出荷への影響などが生じている。

震災に伴う生乳廃棄については、県内の乳業工場については復旧に向けて作業されており、17日以降順次稼働を開始し、生乳受入れも本格化しているものの、道路事情・交通事情により輸送に不測の時間を要している。特に、16日・17日分については、停電や断水により搾乳が通常通り処理できず、廃棄乳が発生しており、今後もインフラの復旧状況によって廃棄乳が発生することも予測される。

県庁職員の多くも被災し日常生活もままならないなか、県内の情報収集活動が展開されている。人命救助、ライフラインの復旧を最優先に進める現段階で、畜産への被害状況について全容が判明するのは来週以降になるものと予想される。