7月の豚肉需給展望 出荷・上場数少なく、前月並みの税込620~640円の展開

6月の豚枝肉相場は、2~3週目にかけて急落したものの、疾病の影響などで上場頭数が伸びなかったため月後半から再び上昇し、月間平均では前年同月比8%高の637円(東京市場上物、税込み)と予想通りの展開となった。また関東3市場(全農建値)でも635円(上物、税込み)で同8%高値となっている。そうしたなか、関東は空梅雨気味とはいえ末端消費は不調で、枝肉高・部分肉安の流れが顕在化した。7月は出荷頭数の落ち込みが予想される半面、梅雨時期で末端消費も大きな伸びは期待できず、学校が夏休みに入る4週目は給食需要も止まるため、需要面での相場の上げ要因は乏しい。むしろ、疾病の影響に加えて気候による発育不良で予想よりも出荷が減る可能性もあることから、枝肉相場は上物で前月並みの620~640円(税込み)の展開となりそうだ。ほぼ前年並みで、一昨年よりは40円程度の高値水準となる。

[供給見通し]農水省が5月23日に公表した肉豚生産出荷予測によると、7月の全国出荷予測は124.7万頭(前年同月比6%減、過去5年平均比5%減)となっている。20日稼働(前年7月は22日)で1日当たり6万2,350頭となる計算だ。ただ、この時点の予測は2月末日までの調査結果によるもので、近く発表される最新予測では修正される可能性もある。一方、6月23日に公表された農畜産業振興機構の需給予測も7月は126万頭(前年同月比4.7%減)と少ない予想をしており、いずれにしても前年を5%程度は下回るとみられている。また産地では疾病の影響がいまだ残っているほか、猛暑や昼夜の気温差が激しいことから大手経営中心に豚の発育が悪化しているようで、これが中~下旬にかけての出荷に影響を及ぼす懸念もある。

輸入チルドは5月が前年同月比1.6%増の2.6万tとなった。農畜産業振興機構の予測では、6月と7月はそれぞれ2.9万t(前年同月比16.1%増、6.9%減)とみられている。ただ、一部はチルフロへの仕向けや、GW前後にみられたベリーの過剰在庫を避けるため、各社大きくは買付けを増やしてはいないもようだ。目下、スーパーの特売も輸入チルドのロイン、カタロースが中心に展開されており、市中に過剰感は見られない。

[需要見通し]豚肉の末端消費、とくにスーパーの販促は国産枝相場の高値推移の影響で輸入チルドにシフトしており、少なくともこの流れは盆休みまで続くとみられる。国産はウデ・モモ、大貫正肉の需要が強く、月初はロースの荷動きも好転したものの、ここにきてスソ物を含めて一服感がみられ、カタロース、バラは引続き動きが伸び悩んでいる。とくにバラはキリングによっては輸入チルドの現物相場を下回る価格もみられる。国産・輸入ともに業界全体としてメニュー提案などこの時期のバラの消費拡大策が求められるところだ。平年通りなら中国~関東甲信は21日ごろが梅雨明けとみられ、また「海の日」が終わると学校給食需要も止まるため、スソ物も弱気に転じそうだ。スソ物は凍結物の在庫は少ないが、この間の枝相場高でコスト的に凍結に回すことも難しい状況となっている。

[価格見通し]7月は出荷頭数が少ない見込みのため、枝肉相場は基本的に強気の展開と予想される。パーツ相場を吊り上げるほどの需要要因は乏しく、月平均相場は前月並み~やや上げの税込620~640円(税抜き570~590円)と予想される。とくに前半は3連休の手当てや冷しゃぶ需要も見込まれ、やや強気の650~670円の展開も予想される。さらに後半は出荷・上場頭数の増加と、3連明け以降は給食需要がなくなることによるスソ物部位の需要の鈍化でジリ安に転じるとみられ、600円前後での推移となりそうだ。