7月の牛肉需給展望 7月は50円前後の小幅高か、大型連休前の4月並みの相場へ

[価格見通しなど]6月の枝肉相場は、不需要期に入ったことである程度下げたものの、依然高止まりしている。その中で、消費も低迷し、和牛でもバラ系の在庫が重くなっている。相場自体は、和去3等級、2等級の下げが比較的大きく、売れ筋のこのクラスの下げが大きいことで、量販店などでの売れ行きが鈍っていることがうかがえる。夏の需要期は、「海の日」を含んだ3連休以降とみられ、その後は旧盆に向けた手当てが入ってくるが、米国産牛肉の供給が潤沢であり、その分、国産の手当ても少なくなる。そのため、相場の大きな上昇は考えづらく、上昇するにしても大型連休前の4月並みの相場にとどまると見込まれる。

16年6月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月比28円安の2,852円、A3は100円安の2,454円、A2は142安の2,292円となった。A5は比較的小幅な下げにとどまったが、3等級、2等級が100円を超す下げとなった。3~2等級のいわゆる大衆規格は、量販店での販売が多く、不需要期の中で量販店での売れ行きが低迷していることを裏付けている。また、同じ理由で交雑B2も85円下げた。乳去B2も34円下げたが、出荷が少ない中で、ここ半年、1,050円前後で高止まりしている(表参照)。

一方、輸入牛肉は、5月の輸入量はチルドで豪州1.0万t、米国0.8万t、合計23.5%増の2.0万tだった。大型連休明けの消費が鈍い時期だが、米国産のバラが4月に続き4,500t前後の輸入があったことで、チルドのショートプレートの過剰感が高まった。7月第2週には、この消化を終えるが、5月中旬から7月第1週まで不需要期の中で在庫が重いという、厳しい状況が続いた。なお、現地のバラ価格が上がっており、6月輸入量は、国内の在庫状況も勘案し、当初予想からは絞られる見通し。

7月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は8.4%減の9万400頭と、減少幅が大きいが、これはと畜場開催日が1日少ないためで、1日当たりの出荷頭数ベースで比較すると4.6%減となる。品種別には、和牛は9.0%減の4万900頭、交雑種2.7%減の1万8,200頭、乳用種は10.3%減の3万頭が見込まれる。輸入牛肉は、チルドの6月輸入量は1万9,600t、7月が2万300tと見込まれる。

相場の見通しについては、国産の枝肉相場がここまで上がったことで量販店の小売価格も引き上げられ、消費者の牛肉離れが見られる。5月の家計消費では、単価の上昇で支出金額は3%増加したが、購入量は9%減少した。家庭での購入量減少の状況が鮮明になっている。その一方で、米国産牛肉は為替の円高もあって、手当てがしやすい状況になっており、比較的潤沢に供給される見通し。その中で、旧盆の手当てが入るとしても、一時的なもので終わる懸念が強く、輸入へのシフトも想定される。これらを勘案すれば、6月に比べ上昇するものの、50円高前後にとどまり、和去A5で2,900円前後、A3は2,550円前後、交雑B2で1,550円前後、乳去B2で1,050円前後と、大型連休前の4月とほぼ同様の相場が見込まれる。