8月の豚肉需給展望 前月の予想外の相場低落で8月需給・相場は不透明感増す

ここ最近の豚枝肉相場は5月の予想外の高騰と6月中旬以降の急落と、週ごとに乱高下を繰り返すなど予測のつかない展開となっている。7月も当初出荷が少ないとの予測から上物税込みで600円台半ばとみられたが、実需の弱さも手伝って実際は月平均で550円(東京市場)と前月から87円値下がりした。変動が激しい相場展開により、スーパーなど需要家サイドも販売計画が立て難く、末端の販促は輸入豚肉にシフトしたことで中間流通では枝高・パーツ安の苦しい状況となった。8月の相場動向は、前月が予想より大幅に値下がりしたこと、さらに出荷頭数が前年同月を上回ることから月前半は税込で520~540円程度、盆休み明けから下旬には出荷頭数の増加で480~500円程度と500円割れの展開と予想される。

[供給見通し]農水省が7月22日に公表した肉豚出荷予測では、8月は前年同月比10%増の131.5万頭(過去5年平均比3%増)と予測している。稼働日(21日)1日当たりの出荷頭数は6万2,619頭となり、前年比で2,586頭、前月比でも1,544頭の増加となる。農畜産業振興機構が7月25日に公表した需給予測では、8月の出荷頭数は前年同月比6%増の127.6万頭、豚肉生産量は同7%増の6.8万tとこちらも前年をかなりの程度上回ると予測している。現状の消費動向からみると前月比・前年比ともにかなりの出荷増といえる。ただ、九州地方では猛暑で餌の食込みが悪化しているもようで、出荷重量・頭数の減少で農水省予測ほどの増加には至らないとの見方も多い。また機構の需給予測によると、チルド豚肉の輸入量は、7月は前年同月比12%減の2.8万t、8月も同3%増の2.7万t前後と予想。前述の通り、5~6月上旬の国産枝相場高の影響で盆休み前のポジションまでは多めの輸入と想定される。

[需要見通し]7月の末端消費は梅雨時期で全体には振るわなく、ジメジメした暑さから売れ筋は冷しゃぶ用や単価の安い小間切れなどに集中した。また国産枝肉相場の変動が激しく販促計画を立て難かったことから、スーパーでは専ら輸入チルドで販促が組まれたことで国産はロース以外の荷動きは振るわなかった。

ただ、枝相場の下落で、ここにきてカタロース、ヒレの発注も増えてきており、末端の販促の強まりにより消費を刺激する可能性もある。とはいえ都市圏は人口流出により需要増加の見込みは薄そう。このため、地方での需要がどこまで強まるか、地方送りで在庫をいかに消化できるかがポイントとなりそうだ。また夏休みでスソ物の引合いが落ち着いたが、市中在庫がタイトにあるため、枝相場の下落で凍結回しの動きが強まるとみられる。

また、気象庁によると8月は全国的に平年並以上の気温が予想されるため、猛暑日が続くようではバラなど焼き材を含めた豚肉全体の消費低迷の懸念もあるほか、盆休み明け以降は、消費者の節約ムードが一段と強まるものと想定される。

[価格見通し]1日の東京市場の枝肉相場は上物税込で475円(前日比1円高)となった。関東3市場では498円(同16円高)と急伸した。8月の豚枝肉相場は「現状の消費動向と出荷予想から見て大きく上げる材料は少ない」とする向きが多いものの、7月末の予想外の枝肉相場下落もあり予想が難しくなっている。猛暑による出荷への影響、輸入チルドとの競合など流動要因があるが、これまでのような週ごとの大きな価格変動はなく、季節パターンでの比較的落ち着いた展開となりそうだ。盆休み前はロース、カタロースなどの手当てが予想され、10日までは520~540円程度(税抜480~500円)と小確り、盆休み明けから下旬は出荷頭数の増加で480~500円程度(同440~460円)とジリ安の展開となりそうだ。