9月の牛肉需給展望 荷動き鈍く全体的に弱保合、和去A3で2,400円前後か

[価格見通しなど]8月の枝肉相場は、旧盆需要により7月の水準を上回ると見られていたが、量販店の手当てが供給が潤沢な輸入チルドビーフに移行したこともあって売れ筋のA3で28円安となるなど各等級で下げた。9月は、出荷頭数は引き続き減少傾向が続くものの、需要が好転することが考えづらく、8月並みか弱保合とみられる。なお、韓進海運の問題が不安視されるが、現状では影響は不透明。

16年8月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税8%込み)は、和去A5で前月比60円安の2,799円、A3は28円安の2,379円、A2は7円高の2,183円となった。A2は頭数が少なくわずかに上昇したが、それ以外の等級はすべて低下した。

また、交雑B2は9円安1,481円、乳去B2は29円高の1,046円となった。乳去は上昇しているものの、引合いが多かった訳ではなく頭数減が要因。

相場は4月の大型連休前の手当てで上昇した後、5月からはわずかながら下げ傾向を続けている。また、前年比では和去は前年を上回っているが、交雑・乳去は前年をわずかに下回る水準となっている。末端の売れ行きなどを勘案すれば、和去相場も中期的には前年並みの水準へ下げていくと見込まれる。

9月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は1.2%減の8万7,100頭と比較的減少幅が小さいが、これは前年に比べと畜場稼働日数が多いためであり、1日当たりの出荷頭数ベースでは4.9%減を見込む。品種別には、和牛は2.7%減の3万6,100頭、交雑種は7.2%増の1万8,700頭、乳用種は3.8%減の3万900頭が見込まれる。

輸入牛肉は同機構の予測では、チルドの8月輸入量は1万9,400t、9月が1万8,600tと見込まれる。牛群再構築に加え、降雨による飼養環境の改善に伴う出荷頭数の減少により豪州産の減少が見込まれる一方で、米国産は生産量の回復に伴い増加が見込まれ、8月、9月とも過去5年間平均を上回る2万t前後で推移すると見込んでいる。

相場の見通しについては、上昇トレンドからの変化の中で予想が難しい状況だが、引き続き少ない出荷頭数、その一方で台風の上陸と猛暑の継続による牛肉消費の低迷、輸入牛肉の供給過多による国産からのシフトなど上げ要因・下げ要因を勘案すれば、相場は下げると見込まれる。特に旧盆手当が輸入牛肉へのシフトで不調に終わったことを考えれば、秋口以降も輸入牛肉の影響は大きいと見ざるを得ない。しかし、1日当たりの出荷頭数が前述のように4.9%減少するとの予測を見れば、大きな下げは考えづらく、和去A5で2,750円前後、A3は2,350円前後、交雑B2で1,450円前後、乳去B2で1,020円前後と見込まれる。