スターゼンと水迫畜産が業務提携10周年、持続加工な和牛生産めざす

水迫畜産グループ・水迫栄治社長と、スターゼングループ・横田和彦社長
水迫畜産グループ・水迫栄治社長と、スターゼングループ・横田和彦社長

水迫畜産グループ・水迫栄治社長と、スターゼングループ・横田和彦社長

スターゼングループ(横田和彦社長)と水迫畜産グループ(鹿児島県指宿市、農事組合法人水迫ファーム、(有)水迫畜産、)は11月21日、東京都港区のスターゼン本社で両グループの業務提携10周年記念記者会見を開いた。

両社は2012年11月21日に業務提携契約を調印し、鹿児島県産黒毛和牛「さつまビーフ」を中心とした出荷・集荷頭数の拡大、加工品の開発・販売などの連携強化の取組みを進めてきた。ことしは、業務提携10周年のほか、水迫畜産の創立50周年と水迫ファームの同35周年の節目。

会見では、今後10年の両社の業務提携の方向性として、
〈1〉牛に優しく
〈2〉人に優しく
〈3〉環境に優しく
――の3つのテーマに基づいた取組みを進めていくことを説明した。

牛に対してはアニマルウェルフェアを実践した肥育・出荷を継続していくほか、牛の健康を最優先に植物性発酵物などで牛の負担の少ない肥育を目指していく。霜降りを入れ過ぎず赤身も確りとした健康的な牛肉を提供し、生産から加工まで一気通貫で情報を共有したうえで、消費者に分かりやすい情報でリブランディングを行っていく。

また、20年来実施してきた食品残さの飼料化技術をさらに研究し、その使用割合を拡大させ、過剰な穀物多給の肥育からの脱却を進める。メタンガス削減効果のあるカギケノリの研究や同様の効果のある可能性素材の研究開発などを両社と飼料関連業者、大学の研究所など「共創プロジェクト」も進めていく。これらの取組みを通じて持続可能な和牛の生産を目指していく方針だ。

水迫畜産グループは、鹿児島県内に肥育農場33カ所(うち直営21カ所)、宮崎県内に肥育農場2カ所(直営)、沖縄県内に繁殖農場2カ所の合計37農場を展開するほか、鹿児島県内に飼料工場2カ所を所有する。22年3月末時点のグループの肥育頭数は合計1万5,400頭(黒毛和種)に上る。

会見で横田社長は「(10年前に)業務提携を締結した当時は、4等級や5等級の牛の発生率はそれほどでもなかった。当時から水迫畜産グループでは、サシが入り過ぎず、健康的に育った牛を食べてもらいたいとの考えのもと肥育事業を展開してきた。現在は4~5等級の発生率が非常に高まっているが、コロナ過以降、インバウンド需要が消滅し、接待・贈答の需要もシュリンクしており、4~5等級の販売に苦労している。一方、海外では日本産和牛のニーズは確実にあり、そこの需要は非常に期待できる。そのなかで、ただ日本の牛肉としてではなく、確りと特徴を持ったなかで、海外の顧客につないでいくときに、水迫畜産グループとのパートナーシップがいま以上に重要になってくるのは間違いがない」と期待感を示した。

また、水迫社長も「これまで、私自身が食べたい牛肉をつくるために取り組んできた。スターゼングループとの業務提携による大きな成果は、深い信頼関係を幹部だけでなく現場でも構築することができたこと。10年前と大きく時代の流れが変化している。今後10年を見据えて関係強化を図っていく」と述べた。

〈畜産日報2022年11月22日付〉

媒体情報

畜産日報

食肉に関する全ての情報が分かる日刊の専門紙

畜産日報

近年の食肉をめぐる情勢は、世界の需給変動や、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの家畜の疾病問題やBSE輸入制限の緩和など制度の変更、新たな規制などにより大きく揺れ動いており、企業の業績にも大きな影響を与えております。畜産日報では、こうした食肉をめぐる毎日の動きとともに行政・業界の対応、需給・相場の動向と見通しなど、解説記事と合わせて分かりやすくお伝えしております。昭和35年の発刊以来、食肉業界から最も信頼されている日刊の専門紙です。

創刊:
昭和35年(1960年)3月
発行:
昭和35年(1960年)3月
体裁:
A4判 11ページ
主な読者:
食肉卸、量販店・食肉専門店、外食、輸入商社、生産者組織、行政機関、海外機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格22,572円(税込)6ヵ月=本体価格44,788円(税込)1年=本体価格86,962円(税込)