【豚価動向】9月4週後半で急落し600円割れに、増体も回復気味で潮目に

8月以降、異例の高値を継続してきた豚価も、9月4週目後半になり、潮目が変わってきた。

9月20日の関東3市場(全農建値)の枝肉相場は前市から67円値下がりして上物で632円(税抜き)に急落、21日は高値を付けていた横浜市場も値下がりしたことで581円となった。21日は群馬や宇都宮も続落となり、京都や福岡など一部市場を除いて、全国的に500円台後半から600円台前半まで値下がりしている。

これまで税抜きで700円前後の高豚価が続いてきたことによる反動に加え、朝晩の気温低下で増体・出荷頭数が徐々に回復するなどの要因が重なったためとみられる。

当初、業界内では9月末までは高値が継続するとみる向きもあり、20日の段階での急落は驚きをもって受け止められていたが、21日も続落したことで「ようやく、秋口らしい季節パターンに戻った」と、比較的冷静な受け止め方をしている。

これに対して末端需要はバラ、カタロース、ロースの中部位の荷動きが好調で、ウデ・モモの荷動きも回復している。凍結物の在庫もひっ迫しているため、この豚価急落によるパーツ相場への影響は少ないとみられる。

東北や九州の主産地に聞くと、一部の農場では依然としてPRRSやサーコウイルスが残っているものの、朝晩の気温が下がって、発育成績が良くなり、重量も徐々に回復傾向がみられるという。受け入れる市場や食肉センターからも、ジワジワと出荷重量が増え、キャンセルも止んだという声が聞かれる。

気象庁の21日発表の季節予報では、10月22日までの向こう1カ月は全国的に気温がかなり高くなるとみられており、日較差の大きさから出荷頭数の増加が本格化するのは10月後半とみられる。全国的に朝晩の気温が涼しくなったのも、ここ数日からで、豚の発育に本格的に影響するのは早くても1週間後の9月末からとみられる。ただ、農場によってはこの間の増体不良から在庫が溜まっているうえに、等外物や大貫物の相場が高いため、見切りで出荷するケースも多いとみられる。

今後の展開について市場関係者は、「これ以上は大きな下げはなく週明けにはやや戻す」「様子見の状況が続き、しばらくは500円台後半から600円前半での推移が続くのでは」と見方が分かれている。10月後半は出荷増による相場への影響を懸念する声があるものの、堅調なスソ物需要やスライス需要の高まりに加えて、輸入チルドの供給量も3万t弱にまで絞られてくるとみられるため、パーツ相場については大きな下げはないものとみられる。

〈畜産日報2023年9月22日付〉

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