2017年清涼飲料市場の販売実績は前年並み、12月単月も前年並み

大手清涼飲料メーカーの2017年12月の販売実績がほぼ出揃った。12月単月の市場は前年並みで着地したもよう。最高気温平均値は9.8℃で昨年より2.6℃低下し、平年の10.9℃よりも低かった。なお、17年1~12月の累計実績も前年並みで着地したとみられる。

17年は、メーカー各社が自社の強みのあるブランドに集中して投資を行うなど、メリハリのあるマーケティング活動を展開したことから、単月・通年ともに特定カテゴリーだけを好調とするのは難しい。だが、規模として大きくないものの健康志向に応えられた野菜飲料と炭酸水は好調だった。

また、8月以降、関東地方を中心に天候不順が続いたが、止渇系の茶系飲料とミネラルウォーターが通年で堅調だったことは特筆すべき点だろう。春先からの各社の積極的なマーケティング活動が功を奏した。水は、フレーバーウォーターの人気とPB製品の伸長で前年実績を超えたもよう。コーヒーはボトル缶の成長と小型PETの「クラフトボス」のヒットもあり堅調に推移した。機能性表示食品も数多くの製品が発売され市場を盛り上げた。

また、トピックスとしては、サントリー食品インターナショナルが国内飲料で25年連続の前年実績超えを達成し、アサヒ飲料も15年連続で前年を上回ったことが挙げられる。伊藤園は、茶系飲料が堅調で野菜飲料を伸ばし、年間販売数量でキリンビバレッジを上回った。キリンビバレッジは収益性を高め新しい価値の創出に邁進しているが、今年は基盤も整ってきたことから販売量での拡大も期待できそうだ。

昨年の市場は、PET容器で大型サイズからパーソナルサイズへの移行が大きく進んだ年となった。生活者のライフスタイルの変化や世帯構成人数の減少も大きい。大容量の価格競争はだいぶ減ってきたが、小・中容量製品も健康訴求やニーズに合った展開により、行き過ぎた価格競争にならないような取り組みが重要になる。18年通年の市場予測では、前年並みと想定するメーカーが多く、夏場の天候次第では微増とするメーカーが多い。

〈酒類飲料日報 2018年1月16日付より〉

 

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