日本人の多くが小・中学生の時に食べる学校給食。学校栄養士、給食企業、食品メーカー、地域の農家さん、地方自治体など多くの人が連携して美味しさを創り出し、子どもたちに安全・安心で美味しい食事を届ける世界に類のない給食制度である。成長期の児童・生徒に必要な栄養素をちゃんと摂れるよう配慮されており、子どもたち自ら配膳し片付けることも特徴的だ。給食を通じて、食の喜びや一緒に食事をとることの楽しさ、生産者への感謝の心、食事マナーや食文化など“食育”を学ぶこともできる。懐かしい学校給食に素敵な思い出を抱く人は多く、卒業後、給食の思い出話に花が咲いた方も多いだろう。

全国を見回すと、それぞれの地域で特色ある学校給食が提供されているが、「地場産物を活かした我が国の自慢料理」をテーマに日本一の学校給食を決める大きな大会が毎年開催されている。それは「全国学校給食甲子園」(以下、給食甲子園)。地域の特色を活かした献立を競い合うことで、学校給食の現場を活性化させるとともに、“食育”や地産地消の推進を目指しており、昨年12月3日に開催された第12回の決勝大会で、全国2,025校・施設の中から優勝したのが埼玉県の越生町立越生小学校だ。日本一の学校給食とは一体どのようなものなのか。同校を訪問し、甲子園優勝の理由を探った。

〈自然豊かで美しい町、越生町〉
埼玉県越生町は、池袋駅から約1時間の自然豊かで歴史ある美しい町。120種類の桜を鑑賞できる「さくらの山公園」や日本観光百選に選ばれた「黒山三滝」、関東一の巨木「上谷の大クス」など観光スポットが多く、江戸城築城で知られる太田道灌ゆかりの史跡や伝承地なども各所に点在している。
越生町立越生小学校

越生町立越生小学校

そして、越生駅から徒歩10分の彩り豊かな「五大尊つつじ公園」の前にあるのが、越生町立越生小学校である。校庭を囲むフェンスには、「祝 第12 回 全国学校給食甲子園 優勝」の大きな垂れ幕があり、甲子園優勝の喜びがひしひしと伝わってくる。満開のつつじ山を横目に小学校を訪問して、栄養教諭の小林洋介さんと調理師の三好景一さん(東洋食品チーフ)にインタビューを試みた。

栄養教諭の小林洋介さん(左)と調理師の三好景一さん(右)

栄養教諭の小林洋介さん(左)と調理師の三好景一さん(右)

〈地産地消の献立にみる食育への熱い眼差し〉
小林さんが梅や柚子を特産物とする越生町に着任したのは3 年前だ。当時は地場産物を学校給食に導入できる環境ではなかったが、それでも諦めず、地域の農家さんを足しげく通い、野菜を子どもたちの給食に使えないか相談する取組みを長年実施。その努力が功を奏し、越生特産物加工研究所と連携を強化し、梅や柚子の使用量を増やすとともに、ヒラタケや小松菜など地場産物を多く使用した給食提供を実現した。なぜ、地産地消にそこまでこだわるのか。その理由を尋ねると、食育への熱い思いを語ってくれた。

「私の仕事のポリシーは、学校給食を通じて、子どもたちと生産者が互いに顔を見れる環境を作ることです。野菜や果物を作る生産者の顔や給食室で給食を作る調理員さんの顔を見て、話して、関わり合うことで、感謝の気持ちが生まれます。そういう生きた教材となる学校給食を子どもたちに届けたい。〈続きを読む〉

〈給食雑誌 月刊メニューアイディア2018年6月号より〉