マクドナルド売上 前年比12.2%増 復活の鍵は商品力と情報発信 「グラン」発売5日で300万食

「グラン クラブハウス」
〈“おいしさ”の磨き上げが復活を下支え〉
『おいしさ向上宣言』を掲げ、商品力と時代を掴むプロモーション戦略で、反転攻勢を強めているのは、日本マクドナルドだ。若菜重昭マーケティング本部メニューマネジメント部上席部長は、「昨年1年間は、定番商品のおいしさにこだわる『おいしさ向上宣言』を開発テーマの1つに掲げ、徹底的に商品を磨き上げた。

SNSをフルに活用したプロモーションとも連動し相乗効果で、既存店売上高、客数ともに大きく拡大。フードビジネスの根幹“おいしさ”の磨き上げが、復活を下支えした」と顧みる。18年は『もっと、おいしさ向上宣言』を掲げ、さらなる来店誘引に繋げていくという。

若菜重昭マーケティング本部メニューマネジメント部上席部長

若菜重昭マーケティング本部メニューマネジメント部上席部長

〈昨年はハンバーガー48品を発売 「常にニュースを発信することで飽きさせない工夫を」〉

17年1月の原料豆から見直す「プレミアムローストコーヒー(ホット)」の刷新以降、『おいしさ向上宣言』では、様々な既存メニューのリニューアルを実施してきた。

なかでも4月に発売した同社にとって8年ぶりとなる本格ビーフを使った新レギュラーバーガー商品「グラン」シリーズは、発売5日で300万食を達成し、売れ筋上位に入る人気商品へと成長している。クラブハウス・ベーコンチーズ・てりやきの3品で、シリーズ専用に開発したふわふわのバンズと通常商品の約1.7倍となる肉厚のパティが商品特長だ。若菜氏は開発の経緯を次のように語る。「日本のハンバーガー市場を開拓した我々だからできる、いままでで一番おいしいハンバーガー、王道のハンバーガーを作ろうと開発に着手した。試作品は約200個、延べ600人のお客様の声を開発に生かした」。

 同社が昨年発売したハンバーガー商品は48品。うちレギュラー商品が16品、期間限定商品が32品。発売毎のPRイベントも計22回実施し、積極的なプロモーション戦略も17年12月期既存店売上高の2ケタ躍進(前期比12.2%増)に繋がった。「日本の外食は世界一洗練されたマーケット。選択肢が無限にあるため、常にニュースを発信することで、飽きさせない工夫を図る必要がある。菓子メーカーとのコラボデザートなどハンバーガー以外にもサイドやドリンクで継続して新商品を投入した。また、ただ単に商品を発売するだけでなく、Twitterを活用したコミュニケーション施策も実施。おいしさ+お客様を楽しませるコミュニケーション施策が客数増に寄与した」(若菜氏)。

 コミュニケーション施策の一例をあげると1月には、レギュラーバーガー12種類からマクドナルドの日本一のバーガーを決める「第1回マクドナルド総選挙」を実施。立候補バーガーのパッケージに記載されたQRコードから専用サイトにアクセスし、推しバーガーに投票することで100ポイント加算される「食べて投票」、Twitterを通じた投票で1ポイント加算される「ツイートで投票」の2つの投票形式で1位の「ダブルチーズバーガー」を決定した。Twitterを活用し、誰もが投票できる仕組みを作ったことで大きな話題を呼んだという。

コラボ商品「マックフルーリー 森永ミルクキャラメル」

コラボ商品「マックフルーリー 森永ミルクキャラメル」

〈今期も“おいしさ”徹底追及、朝・夜・スナックタイムの強化へ〉
新たなメニュー施策としては昨年から期間限定商品の朝マック(開店~午前10時半)への導入を開始した。3月に期間限定で発売したてりやきソースをかけたポークパティとたまごを挟んだ「てりたま」については、朝マックに「てりたまマフィン」として導入。朝マック時に提供している「ソーセージエッグマフィン」を「てりたま」使用にアレンジしたもので、「長年愛されてきている朝マックをより強化しようと期間限定商品の朝への投入を決めた。朝の時間でしか購入できないため、朝マックの客数増にも繋がった」(若菜氏)。

今期方針では『おいしさ向上宣言』を継続し『もっと、おいしさ向上宣言』を掲げる。第一弾として、1月に「カフェラテ」(ホット、アイス)の全面リニューアルを実施。コーヒーの苦みを抑えたミルク感のある味わいが求められる市場トレンドに合わせ、刷新したもの。また、同商品の発売と同時期に「三角チョコパイ」の新フレーバー「プレミアム三角チョコパイ ヘーゼルナッツ」も投入し、スナックタイム(14時~18時)の利用拡大を狙う。

「いまあるメニューをよりおいしく、過去に発売したメニューをよりおいしくして再登場されるなど今期も“おいしさ”を徹底して追及していく。また時間帯別の施策も強化し、朝や夜、スナックタイムの誘引に繋がる施策を継続して実施していきたい。昼の時間帯には、行列ができる店舗も多いが、朝や夜、スナックタイムは客席に余裕がある。客数の拡大にはまだまだチャンスがあるため、昼以外の時間帯の強化に乗り出す」(若菜氏)とした。

〈食品産業新聞 2018年2月15日付「外食特集」より〉

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