“都市から地方へ”と、インバウンドの地方誘致の必要性が叫ばれる中、“餃子の町”栃木県宇都宮市でも外国人誘客に向け、対応を進める動きが始まっている。

90店舗が加盟する宇都宮餃会は今冬、組合直営店「来らっせ」にて、食の制限を持つ外国人でも選びやすい「食のバリアフリー」対応のメニュー表示を行うプロジェクトを始動させた。加盟店舗の中にはムスリム向けの餃子を提供する店舗も出現しており、世界遺産・日光や首都圏から近距離にある地の利の良さをアピール材料に、餃子で多くのインバウンド客を呼び込む考えだ。

「食のバリアフリー」とは、食に関する制限や規律(アレルギー、ハラール、ベジタリアン、ヴィーガン、コーシャなど)を抱えた消費者が、「安心して選べる」食の仕組み作りを構築する取り組み。内閣官房では昨年から2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、対応メニューの開発及びその多言語表示(食のバリアフリー化)を進め、日本食のグローバル化(食のバリアフリー化)につなげる事業を目指しており、関東地方では宇都宮餃子会が初めての実践となった。

同会事務局の川津星美氏は、「一カ所で複数の加盟店舗の餃子を満喫できる『来らっせ』を含め、加盟店舗を訪れる外国人の数は、近年大幅に増加している状供だ。対応の必要性を感じており、宇都宮市からの要請もあって『食のバリアフリー』プロジェクトへの参画を決めた」と話す。
原材料に関する情報をアイコンで表示(「来らっせ」メニュー)

原材料に関する情報をアイコンで表示(「来らっせ」メニュー)

同プロジェクトでは、ムスリムやベジタリアンなど食の制限を持つ訪日外国人が気にする原材料に関する情報に、アレルギー特定原材料7品目などを加えた計13品目の使用有無をアイコンでメニューに表示。外国人客やアレルギーに不安を抱える日本人客にも好評だったことから随時、加盟店舗への導入も拡大していく意向だ。一方、「来らっせ」店内の外国語表記への対応は注文方法のみで、メニュー名や説明には対応できておらず、10人いる外国人スタッフが対応している状況だという。「プロジェクト参画をきっかけ、急務の課題として外国語表記への対応を進めていく」(川津氏)。アプリ「宇都宮餃子ナビ」の外国語版も作成中で、各加盟店舗に多くの外国人を呼び込む考えだ。
 
〈礼拝場設置や“ハラール餃子”でムスリムの来店客が増加〉
一方、同会加盟店舗「さつき 徳次郎本店」では昨夏、ハラール餃子を開発し、ムスリム向けに餃子の提供を開始した。宇都宮大名誉教授で同大ハラール研究会会長の友松篤信氏や留学生から指導を受け開発したもので、価格は6個入り300円。豚肉の替わりに鶏肉を使用する食材はもちろん、調味料から鍋に至るまで全てハラールに対応した餃子だ。店内には足洗い場や礼拝場も完備しており、口コミ効果でムスリムの来店客も増えているという。

「さつき 徳次郎本店」外観

「さつき 徳次郎本店」外観