マルハニチロ、新4カ年計画 21年度売上高1兆円、営業益310億円

マルハニチロは5日、2018~21年度の4カ年を対象とした、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」を公表した。定量目標として最終年度に売上高1兆円、営業利益310億円を目指す。それぞれ17年度見込みよりも900億円、70億円上積みする計画だ。合わせて「サステナビリティ中長期経営計画」「新コーポレートブランド戦略」も公表した。

前中計「Challenge toward 2017」(14~17年度)では「再生と一丸への挑戦」と「成長への挑戦」を掲げた。「計画を上回る利益の創出と財務体質を改善し、より筋肉質な収益構造への転換を実現できた」(同社)とした一方で「グループの持続的成長に向け、増益基調の定着、水産資源アクセスの強化、商品開発力の強化など一層の改善の余地がある」と総括している。

今4カ年計画は10年後にグループのありたい姿を5項目掲げ、その実現に向けた最初の4年間と位置付けている。10年後にありたい姿としたのは〈1〉グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業〈2〉水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンを展開し、収益の拡大化を実現〈3〉世界No.1の水産会社としての地位を確立〈4〉冷凍食品・介護食品の国内No.1企業としての地位を確立〈5〉水産物由来機能性材料のリーディングメーカーとしての地位を確立――。

今4カ年計画では基本方針として「企業価値の向上と持続的成長」を掲げ、〈1〉収益力の更なる向上〈2〉成長への取り組み〈3〉経営基盤の強化――に取り組む。

具体的に〈1〉収益力については▽水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーン再構築▽加工食品事業における収益拡大を、〈2〉成長への取り組みについては▽国内外における水産事業バリューチェーンの拡充▽加工食品事業生産拠点への積極的な投資(冷凍食品について生産拠点の再編、コア製品の生産能力拡充、AI・IoT を活用した効率化)▽中長期的な成長領域への先行投資(加工事業では介護食事業の拡大、化成事業の拡大)を、〈3〉経営基盤強化については▽経営戦略を支える安定的な財務基盤構築▽研究開発力、技術力の強化▽人財・ブランド・ITインフラの強化を、それぞれ挙げている。〈3〉については投資に1,100億円を充てる。投資内訳は成長投資485億円、インフラ投資235億円、定常投資380億円――。成長ドライバーとして海外と冷食を、中長期的成長領域として養殖、介護食、化成を、それぞれ挙げている。

〈サステナビリティ中長期計画も〉
同社は新たにサステナビリティ長期ビジョンを策定した。事業活動を通じた「経済価値」「社会価値」「環境価値」の創造に注力していくことで、人類社会が直面する社会課題の解決(持続可能な開発目標=SDGsの達成)に貢献していくとしている。

合わせて18~21年度のサステナビリティ中期経営計画として、経済面の中計に合わせて、社会価値としてお客様、従業員、取引先、地域・社会――それぞれへの価値創造について、環境価値として地球温暖化対策、循環型社会の構築、海洋資源の保全――について目標を定めている。

〈新ブランド定義、統一へ〉
同社は長期経営ビジョンの実現に向けて、新たにブランド戦略を導入した。新ブランドステートメントを「海といのちの未来をつくる」として、社名ロゴデザインも刷新した。

マルハニチロ新ロゴ

マルハニチロ新ロゴ

新ロゴへの切り替えを3月から順次始める。商品ブランド体系の再構築にも着手する。18年秋季の新商品・改良品から「マルハニチロ」ブランドへの統一を進め、19年秋季の移行完了を目指す。新コーポレートブランドに従って、6日から新企業CMを全国展開する。

〈冷食日報 2018年月日付より〉

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