4月2日は多くの企業にとって18年度の初実働日。新入社員も加わり、新たな気持ちで仕事に向かう日となる。

冷食業界の17年度は、前半は順調だったが、後半は収益面で減速した企業が多かった様子だ。諸コストが収益を圧迫した。18年度はそれを吸収、あるいは価格への転嫁も含めて対応し、堅実な成長を目指すことになる。消費者、ユーザーにとって冷食の役割は益々重要になっており、価値ある冷食を供給し続けたい。

さて18年度の注目点の一つは、人工知能(AI)をいかにビジネスに活用するかにある。これは食品事業・冷食事業に限ったことではない。新聞業界のことで恐縮だが、昨年から日経の決算情報は、上場企業が発表する決算データをもとに、AIが文章を作成し、信濃毎日もAIによる自動記事要約システムを作ったという。新聞を作る過程のAI技術は新聞業界の大きな注目点である。

食品業界ではいち早くキユーピーがベビーフードの原料になるダイスポテトの原料検査装置にAIを活用した。変色などの不良品を見つけ、選り分ける。従来は人による目視で一つひとつ取り除いていたが、作業者の負担が大きかった。

また、味の素は3月27日、レシピサイト「AJINOMOTO PARK」をリニューアルし、AIを活用した自動献立提案システムを導入したと発表した。自動献立提案システムは、サイト上で選択したレシピに対し、主菜、副菜、汁物から適切な2品を加え計3品の“献立"として瞬時に提案する。〈1〉栄養計算だけではなく、季節、和洋中、調理効率(食材・調理器具の数)等、食事作りをする人が考慮するポイントも要素としている〈2〉AIを活用して、彩りや味のバランスなどの感覚的な要素も含めた精度の高い献立提案ができる、という2点の特長がある。同システムにより、従来の約1千レシピの中から2品を組み合わせた献立提案から、約1万レシピの中から3品を組み合わせた献立を提案することができるようになった。

冷食メーカーの取り組みも急だ。ニチレイフーズは近畿大学とAIを活用して、ニチレイフーズの冷食工場で使用する原料選別技術を共同開発した。従来比で夾雑物除去率が約1.5倍、処理スピードは約4倍になる。この技術は製造途中や完成品の検査にも応用でき、完全自動化にもつながるという。また、極洋はNEC、東北大学などと共同で、水産加工品の生産効率向上に向け、AI画像診断による生産個数、二級品検出実験を行い、成果を得て生産工程の実装に活かすという。

冷食の生産現場では検品や商品仕分けなどの作業軽減や故障、異常発生による無駄なコストの未然防止が、「人手不足」の深刻化とともに需要な課題になっている。AI技術の生産現場への導入では知見を持つ企業や大学との取り組みが欠かせなくなった。

AIを使った各種の技術は、「90年代初めのインターネットの登場と匹敵するくらいのインパクト」という指摘もあるが、18年度の冷食業界でもAI技術のビジネス活用の進展が注目される。

〈冷食日報 2018年4月2日付より〉

【関連記事】
サッポロビール、新卒採用のエントリーシート選考でAIを導入
〈新春インタビュー2018〉ヤオコー・川野澄人社長 機械化・IT化で人手不足に対応
〈新春インタビュー2018〉近商ストア・中井潔社長 自動化とコミュニケーション両立
新調理システム推進協会・渡辺彰会長「AI・ロボットの前に人材育成が重要」