主力ブランドに集中投資、大型新商品「本麒麟」3月発売へ 麦系新ジャンルで柱を立てる―キリン2018年事業方針

キリンビール・布施孝之社長
キリンビールは11日、2018年事業方針を発表した。今後の酒類市場の環境変化を見据え、主力ブランドへの集中投資を図る。新ジャンルで巻き返しを本格化させ、大型新商品の「本麒麟」を3月13日に発売し、麦系新ジャンルでの柱を立てる。
3月13日発売「本麒麟」

3月13日発売「本麒麟」

布施孝之社長は2017年を振り返って「市場環境は、6月の改正酒税法、また、当社は、公正取引のために年初から新ガイドラインを導入したことによる店頭価格上昇が上期一杯響いた。9月にリニューアル発売した一番搾りは、たくさんのリニューアルを経験してきたが、過去最高の成功を収めた。タップ・マルシェは年初目標の1,000店を突破した。一方で、6月の新しい取引制度により市場はRTD やPB商品に流れ、のどごしスペシャルタイムの苦戦などもあり、新ジャンルは大幅未達となった。ノンアル・RTD・洋酒は伸長した」と総括した。

18年方針については「主力ブランドに集中投資する。▽自社トップブランドの強化▽ビールカテゴリーの活性化▽クラフトビールなど新たな価値創造▽RTD強化――がポイントとなる。一番搾りは、購入の間口が拡がる他方で、トライアルのバラ缶から、6缶パック、ケース買いへと奥行きも出てきた。今年に入ってからもその流れは変わっていない。日本のビールの本流にしていく。タップ・マルシェは3月14日から全国展開する。ビール定義拡大はクラフトビールの活性化の後押しになる。当社はスプリングバレーブルワリーで、例えば果実を副原料で使用するなどの知見で先行している。家庭用クラフトの新商品を準備している。新ジャンル新商品の本麒麟は、集中投資の対象だ。麦系新ジャンルで柱が立てれば、全体の景色が変わってくる」と述べた。市場環境については「2月の平昌オリンピック、6月のサッカーワールドカップ、東京オリンピックへのムード醸成などイベントが続く。消費マインドも徐々に盛り上がってくる」とみる。

山形光晴マーケティング部長がマーケティング方針を発表した。「一番搾り」は引き続き、一番搾り製法の優位性の訴求と、“ビールの楽しさ”を直感的に伝えるマーケティングを行う。「のどごし〈生〉」は、“爽快”をダイレクトに伝えるコミュニケーションを実施。ブランドの原点である“ゴクゴク飲める、うまい〈生〉”“お客様を、明るく元気に!”を訴える。3月13日発売の「本麒麟」については「世の中のトレンドは、低価格でありながら高品質な商品やサービスが支持を集めている。一方で、新ジャンル市場は、高品質が最も期待が高く、最も未充足だ。そこで最高品質を目指した新ジャンルを提案する。キリンビール伝統の、爽やかな苦みが特長のドイツ産ホップを採用し、長期低温熟成で雑味を取り除き、味を引き締めた。アルコール分は、ちょっと高めの6%。グッとくる力強いコクと飲みごたえだ」と紹介した。

1月23日発売の「のどごしSTRONG」は、ビール類市場でのストロング領域を創造する。ノンアルコール「零ICHI」は、2月上旬から、よりビールらしい味わいにリニューアルする。RTD は、ブランドからの提案や間口の更なる拡大、ストロング市場への提案、新技術による新商品に取り組む。洋酒は「富士山麓」の価値向上、輸入ウイスキーの魅力伝達、若年層の需要喚起などに取り組む。なお、表中の洋酒計のうち、17年ウイスキー実績は前年比6.8%増の157億円、18年計画は7.0%増の168億円。

〈酒類飲料日報 2018年1月12日付より〉

キリン17年販売実績・18年目標

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〈インタビュー〉2017年のRTDを振り返る① キリンビールマーケティング部 RTDカテゴリー戦略担当 井本亜香主査