信州・高山村を”世界に通じるワイン産地に” 「村のプライドに」との思い込め醸造/信州たかやまワイナリー

信州たかやまワイナリー 代表取締役・涌井一秋氏(左)、取締役執行役員・鷹野永一氏(右)
信州たかやまワイナリーは7日、プレス向けクローズドテイスティングを東京「銀座Nagano」で開催し、ファーストヴィンテージ2016年の全ラインナップを披露した。

同社代表取締役涌井一秋氏は冒頭、ワイナリー設立までの歴史と現状を概略以下のように説明した。

〈ぶどう栽培面積 10年で3haから50haに拡大/信州たかやまワイナリー・涌井社長〉
長野県北部にある高山村は、面積100平方kmのうち8割超が森林で、標高は400~2200m。日照時間は長く、降水量は850mlと九州の3分の1で、火山灰土由来の水はけの良い土壌や昼夜の大きな寒暖差など、ぶどうの栽培に適した土地だ。初めてぶどうが植えられたのは1996年。同村のぶどうを使ったメルシャン「北信シャルドネ」やサントリー「高山村産シャルドネ」は国内外で高く評価されている。2006年、高山村産ワインぶどうの振興を図るとともに、産地形成やワイン文化の醸成を目指す「ワインぶどう研究会」が発足。当時は栽培者もわずか3名で、3ha程度だったぶどう畑も、今では栽培面積50ha、栽培者20名にまで拡大。

ワインぶどう研究会にも、県外の酒販店や料飲店からの参加者を迎え、129名が所属する規模となった。

2011には東御市に続き、県下で2番目のワイン特区に認定された。2013年、「高山村ワイナリー構想検討会議」が設立され、2015年には村専任のワイン専門職員としてメルシャンで経験を積んだ鷹野栄一氏を迎えた。

農業の6次産業化のみならず、「ワイン産地の形成」をめざし、2016年10月には12名の栽培者が株主となり、高山村の中核となる村内第二ワイナリーとして「信州たかやまワイナリー」が完成。9月に免許がおり、その日のうちに醸造を開始した。

信州たかやまワイナリー ファーストヴィンテージのラインナップ

信州たかやまワイナリー ファーストヴィンテージのラインナップ

〈初めての醸造は「テクニックを駆使せず自然な流れで」〉
商品構成は、手頃な価格の「ファミリーリザーブシリーズ」(1,620円)、中核となる「バラエタルシリーズ」(2,970円)、さらに、ぶどうが十分に育ったら良い年にだけ製造予定の「プレミアムシリーズ」の3ライン。

ただし、ファミリーリザーブシリーズ「Nacho(ナチョ)白」「同ロゼ」は今のところ、高山村限定での販売。「良いワイン産地の条件は、良いワイン、良い作り手、良い飲み手。良い飲み手を育てたいという思いと、村のプライドになるようにとの思いを込めた」(同社取締役執行役員 醸造責任者鷹野永一氏)。生産量は白2,000本、ロゼ3,500本だが、数カ月で完売したという。品種は「いろいろと想像してほしいので」未公開。

バラエタルシリーズは、白が「シャルドネ」と「ソーヴィニヨン・ブラン」、赤が2月10日発売になる「メルロー&カベルネ」。鷹野氏は、「初めての醸造なので、ぶどうのポテンシャルを見定めようと、テクニックを駆使せずに自然な流れで造った」と話す。さらに、「突出した香りや味わいがなく、全体が調和したワイン」「食事の中にあり、いつのまにかボトルが空いているようなワイン」を目指し、アルコール度数も11~12.5%と控えめだ。

同ワイナリーでは将来的に年間生産量7万本を予定する。品種はシャルドネとソーヴィニヨン・ブランが約3割、次いでメルローが18%、ピノノワールが16%、カベルネソーヴィニヨン、カベルネ・フランのほか、サンジョベーゼやアリアニコなども少量仕込む。

〈酒類飲料日報 2018年2月13日付より〉

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