サントリーワインインターナショナルグループ売上計画は2%増の810億円

サントリーワインインターナショナル・山崎雄嗣社長
サントリーワインインターナショナル・山崎雄嗣社長サントリーワインインターナショナル(SWI)は21日、2018年事業方針発表会を都内で開催し、同社代表取締役社長山崎雄嗣氏が昨年の実績と今年の計画について概略以下のように説明した。

山崎氏=昨年国内ワイン市場は数量ベースで1%増と推定する中、当社の国内ワイン実績は市場を大きく上回る5%増となった。価格帯の二極分化と消費者の高齢化が進んでいる。若年層の酒離れは深刻な問題で、RTDとの競合も厳しい。この状況は、今年も継続すると見る(売上高計画は表のとおり)。

〈日本ワインは8%増の74,000c/s目標〉
日本ワインでは、昨年「塩尻ワイナリー」を新シリーズ化した。また、「登美の丘ワイナリー」では、甲州への植え替えを進めており、2022年には2017年比で5倍に増やす予定。栽培面積は現在の25ha から変わらないが、甲州の比率を3分の1にまで高める。

ワイン用ぶどうの「質の向上」と「量の確保」にも力を入れる。

自社保有ワイナリーのぶどうを質量ともに向上させるほか、山形、長野、北海道などでは地元の栽培農家への技術指導を通し、耕作放棄地をぶどう栽培農地に転換を進めている。

もうひとつ、農業生産法人を活用した「ジャパンプレミアムヴィンヤード」は長野県塩尻に2.5ha、立科に3ha の5.5ha がある。来月には、山梨県中央市に4ha を賃借し、植栽を開始する予定。

「岩の原葡萄園」では、創業者の川上善兵衛氏生誕150年にあたる今年、善兵衛氏の誕生日3月10日に「生誕150年記念ワイン」を約5,000本限定で発売予定。

日本ワイン全体では8%増の7万4,000c/sを目指す。

2018年売上高計画(内部管理ベース)

〈「新容器」「飲み方」「ロゼワイン」提案で、新需要創造〉
今年の国内ワイン事業方針は、「プレミアム(1,200円以上)商品の強化」「スタンダード(600~1,200円)・デイリー(600円以下)基盤ブランド強化」「新需要創造」の3つ。

プレミアムカテゴリーでは、既存ブランドの育成に加え、「ダークホース」「サンタプレミアム」「エスプリ ガシェ」に新商品を投入。スタンダードカテゴリーでは、フランスワイン2ブランド、スペインワイン1ブランドを導入する。デイリーブランドでは、「カルロロッシ」を日本限定の中身にリニューアルするほか、「サンタ」「デリカメゾン」のポートフォリオも拡充する。

〈ロゼワインの活動強化で「ロゼ元年」に〉
「新規需要創造」では、〈1〉業務用限定のカップワインや「デリカメゾン」スパークリングボトル缶などの「新容器提案」、〈2〉国産ワインに加え、「フレシネ」などでも「氷と楽しむ」マーケティング強化、〈3〉ロゼワイン5品を拡充し、催事などでの提案強化を進める。

日本のロゼ市場はまだ小さいが、社内では今年を「ロゼ元年」に、という強い意志で活動している。昨年のボジョレーヌーヴォーイベント「ボジョパ」では若年層のロゼワインへの反応が良かったこともあり、桜の季節だけでなく、「夏のロゼ」「母の日ロゼ」など、「コト消費」とからめた提案を強化し、食事と合わせて楽しむ辛口のロゼを訴求していく。

〈「Ch.ラグランジュ」過去最高の評価〉
ボルドーシャトー2016年のプリムールでは、「シャトー ラグランジュ」がワインアドヴォケートから94~96pと過去最高の評価を受け、3級シャトーでは3位に浮上。「投資家のためでなく、ワイン愛好家のワイン」と評価された。この結果が日本にも好影響を与えると思う。

「2016年は凝縮感と複雑さを兼ね備えながら、ラグランジュらしいエレガンスがある」(登美の丘ワイナリー長渡辺直樹氏)。

〈酒類飲料日報 2018年2月23日付より〉

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