アサヒのワイン事業、「トレーディングアップ」で3%増の424億円目指す

アサヒビール・マーケティング第四部長福北耕一氏
アサヒビールは24日、「ワイン事業方針発表会」を都内で開催。同社マーケティング第四部長福北耕一氏が概略以下のように説明した。

福北氏= 当社とエノテカをあわせた2017年のワイン事業は前年比3%増の413億円。今年は、「アルパカ」や「リラ」などのデイリーワインを通してエントリー層を広げると共に、新価値提案商品を投入してエントリー層をミドルクラス、ファインクラスへと誘う活動=「トレーディングアップ」を展開。基盤を広げつつ、より特徴をもった商品を投入し、今年はさらに3%増の424億円を目指す。

【デイリーワイン】輸入ワインブランドNo.1となった「アルパカ」は昨年、ピノノワールやハーフボトルを拡充し、選ぶ楽しさを提案。150万c/sを達成した。今年は、「豊かなアロマ、凝縮感とコク」を追求した上級品「アルパカ・プレミアム」2種(1,080円)を投入するとともに、通常商品には「シラー」を拡充し、計7品種とする。30日にはアルパカ初のデザインラベルも発売するほか、前回好評だった消費者キャンペーンも実施。今春には値上げを実施するが、その落ち込みは上級品でカバー。数量では前年同の150万c/sだが、販売金額では前年比増を狙う。

〈「新容器」「食連動ワイン拡充」「オーガニックの拡充」で新価値を提案〉
「新価値提案」への取り組みは、「付加価値商品での飲用シーン拡大」「食連動ワインの強化」「オーガニックワインの拡充」などがある。

【アウトドアに最適な新容器】 幅広い飲用シーンを提案すべく、アメリカ デリカート社のプレミアムBIB「ボタ・ボックス」シリーズを新たに導入する。アメリカでの年間販売実績600万c/sを誇るブランドで、米国専門誌「ベスト・バイ」賞を40回にわたり獲得。さらに、BIB でありながら、ぶどう品種とヴィンテージの記載があるのも差別化ポイントだ。本国には単一品種からブレンドまで、15種類があるが、今回は赤2種類、白2種類を選んだ。

500ml入り「ボタ・ミニ」(800円)の重量は、わずか530gと、ボトルワインの半分以下。紙パックなので気軽にアウトドアやレジャーで楽しめることから、ワインの新たな飲用シーンを訴求する。料飲店向けには、開栓後も1カ月品質を保つ「ボタ・ボックス」(3L入りBIB/3,900円)をバイザグラス需要に訴求。「品種やヴィンテージで選べるハウスワイン」として、料理とのペアリングなども提案していく。

【魚に、豚に~食連動ワイン】 ラベルやネーミングでシンプルにわかりやすくという狙いで昨年発売した牛肉・鳥肉に合うワインの反応が想定外によかったことから、今年は魚料理に合うワインとしてポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ「カザル・ガルシア」(白・ロゼ/各1,300円)、豚肉料理に合うワインとして南仏「プティ・コショネ」5品(各1,080円)を発売する。

【オーガニックワインの拡充】 これまで品薄だったオーガニックワインも拡充。シャンパーニュでも珍しいビオディナミ「ランソン・グリーンラベル」(10,000円)、さらにスペイン産カバ「ベソ」2品(1,700円)。

【ロゼワイン】 国産「摘みたての贅沢」から、辛口の「華やかなドライロゼ」(680円)を発売。同時に「アルパカ」「ガンチア」からもロゼワインの桜ラベルを発売する。

【日本ワイン】 「サントネージュ」の栽培畑拡大やコンクール出品を通しての品質訴求を進めるとともに、「東京五輪オフィシャルワイン」として大きな飛躍に期待する。

〈酒類飲料日報 2018年1月25日付より〉

「アルパカ・プレミアム」

「アルパカ・プレミアム」

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