「本格焼酎の市場環境は逆風ではないが、消費者の関心が薄れている」(メーカー)というように、明治維新150周年や「西郷どん」の放映効果も、話題性やプラス効果は限定的という感じが否めない。日本酒造組合中央会が発表した本格焼酎の1~5月累計の出荷数量は、7.3%減で推移するなど、市場環境が芳しくないのは数字にもはっきりと表れている。それでも各メーカーは、新たなユーザー獲得に向けた取り組みを進めており、中でも注目は、主に業務用市場における炭酸割りの提案だ。
本格焼酎ハイボールを提供する居酒屋も増加

本格焼酎ハイボールを提供する居酒屋も増加

炭酸割りで先行していたのは雲海酒造だ。2011年頃からそば焼酎のソーダ割りを研究し、2013年に福岡を中心に九州一円で吉田羊さんを起用した“そばソーダ”のCMを製作。2016年4月から関東エリアで放映を開始した。100mlペットの「そば雲海」とソーダ缶にレシピを付けた「そばソーダサンプリングセット」の配布イベントも浸透に一役買っている。同社によると、「焼酎の甘さや風味が強調されて、おいしく飲める。そばありきではなく、色々と試した結果、そばソーダが一番おいしかった」(同社)と振り返る。

他メーカーも力を入れ始めた。薩摩酒造は、福岡の料飲店で「さくら白波」の炭酸割りを「イモパンチ」と称して提案を仕掛けており、「福岡で成功事例をつくって、他のエリアにも展開していきたい」(同社)。また、「神の河スパークリング」に続き、「さくら白波スパークリング」を九州限定で新発売した。「SNSの発信やイベントにも積極的に参加し、若い人にお酒の楽しさを訴求していく」(同社)としている。

高橋酒造は、「金しろ」と「銀しろ」の一升瓶が2ケタ増、720ml瓶も3~5%増で推移するなど好調だが、その要因として、「ソーダ割りで飲む人が増えた。米焼酎なのでサッパリとキレが良く、食事と一緒に飲む飲用スタイルが定着してきている」(同社)と分析。引き続き両商品の炭酸割り「キンハイ」と「ギンハイ」の提案に注力し、初の試みとして、福岡市内の百道浜マリゾン内の海の家「THE BEACH」で、「キンハイ」と「ギンハイ」が楽しめるコラボレーション店舗を夏期限定でオープンする。

三和酒類も「いいちこスパークリング」として、「いいちこ」の炭酸割りの提案を進めている。「守るべきものは守りつつ、お客がおいしいと思ってもらえる提案は行っていく。飲食店向けのチラシも作ってPRを行っている」(同社)。

本坊酒造は、前期8%増と好調な「あらわざ桜島」の業務用での訴求に力を入れている。「芋焼酎でソーダ割りが合う商品は限られている」(同社)が、フルーティーでかろやかなタイプな同商品は、ロック、水割りとともに、ソーダ割りの提案も伸長に寄与している。

宝酒造は7月24日に、全国の業務用ルートで「一刻者ハイボール」を新発売する。炭酸割りにすることで、芋本来の甘い香りがさらに際立ち、アルコール分9%のすっきりとした上品に味わいとなることを訴求。「飲食店を中心に本格焼酎の炭酸割りの需要が高まっており、同商品で話題を喚起する」(同社)。

〈食品産業新聞 2018年7月12日付より〉