3月の鶏肉需給展望 2月はモモ上昇、ムネ高騰と例年と異なる上昇傾向に

鶏肉相場は、2月にモモ、ムネともに例年と異なる上昇傾向となり、日経平均は月間でモモ685円、ムネ287円と特にムネで高騰、1月と比べ30円以上の上昇となった。モモでは、1月に12月の相場を超え、2月はさらに上昇と予想を上回る状況となっている。本紙の2月予測では、2月後半は需要の減少から若干弱含むと見ていたものの、需要はモモ、ムネ、副産物とも落ち込むことなく推移し、相場は上昇傾向となっている。

上昇の背景には、生鮮品各部位への需要の強さ、加工需要の堅調な推移、ブラジル産モモの輸入減による輸入品の高騰、直近では九州、東北とも生産面で不調を抱え、種鶏農場での鳥インフルエンザ発生による3月後半の供給不安と様々な要素がある。加えて、年明け以降好調を続けたことで、例年であれば余剰を回す凍結品が今年は作れていない。例年の需要動向でいえば、2月後半には需要も収まり、相場はじわじわと下落する傾向だが、ことしに限っては、多少の需要減があったとしても上げ要因の多さから下落はしないだろうと見込まれる。

2月に急騰したムネの需要は、昨年来好調に推移している一方で、価格は1月まで250円程度で推移してきた。ブラジルモモが安かったため、競合を懸念して売価を上げられなかったと見られ、ブラジル産モモが輸入減で高騰する中、反動で一気に上がったとも考えられる。また、一部では原料原産地表示の義務化への対応に、国産ムネを活用した加工品の検討も増えているもよう。今後も需要堅調が続くと見られる。需要に対し、凍結品を作る余裕のない現状から、不足は長引くと見られ、相場の高騰は長期化することも考えられる。高値からの需要離れは懸念されるが、3月は18~20日の3連休があり、最終週には学校給食は無くなるが宴会シーズンでもあり月間を通して堅調な推移は続くと見られる。