放射線検査ガイドラインを4月1日付で見直し、無駄な自主検査の廃止へ道筋

食品中の放射性物質の検査計画ガイドラインが4月1日付で大幅に見直される中、無駄な自主検査を廃止していくことへ期待がかかる。一方、「無駄だと分かっていても放射線検査を廃止するのは難しい」「いまだに検査証明書を求める大手量販店の意向を無視するわけにはいかない」–と、関係者は検査の一斉廃止は難しいと見る。コストを意識せずに「安心」を求める消費者と、その声にすべて応えようとする量販店。こうした図式が「無駄な検査」の廃止を難しくしている。

ガイドラインをそのままの形で適用すると、検査対象は1%程度にまで絞り込まれる。「ただ、ガイドラインはあくまでもガイドラインであり、国がどうこう、と言える立場にはない。今回の見直しによって、どこまで(計算通りに)無駄な検査が廃止されるかはまったく見通せない」(政府筋)。自治体や食品事業者など検査現場の実態を知っている関係者も、「消費者」「安心」というキーワードを突きつけられると、検査廃止にためらうというのが実情だ。「結局、一斉に無駄な検査を廃止するとなると、トピックとなる機会をとらえて、行政(国)が矢面に立たざるを得ないのではないか」と、政府関係者はそのタイミングを推し量る。

同ガイドラインは、地方自治体が検査計画を策定するにあたって、出荷制限の品目や区域設定、解除の考え方などが示されているもの。今回提案されたガイドライン見直しは、栽培・飼養管理が「可能な品目」と「困難な品目」とに分けた上で、牛肉を中心に「可能な品目」についての検査継続の目安を、「直近3年間の検査がすべて基準値の2分の1(50ベクレル/㎏)以下」に改定する考えだ。この基準を13-15年のデータに当てはめると、99%の品目群が検査対象から外されることになる。

ただ、これは文字通り検査計画策定にあたっての一定の方向性を示すものであり、強制力はない。「今回の改正で、自治体の事情により検査計画が柔軟に組めるようになった、と考えてほしい」(厚労省)。同省の説明にあるように、むしろ産地事情によって各自治体の検査の必要性に強弱が付けられるようになる。