〈「アイダホポーク」の魅力を全面訴求〉
首都圏を中心に牛たん専門店「牛たん とろろ 麦めし ねぎし」(以下、ねぎし)を38店舗展開している(株)ねぎしフードサービス(東京・新宿区、根岸榮治社長)は、昨年12月、新業態「ポーク ポーク ポークねぎポ有楽町店」を東京・千代田区丸の内にオープンさせた。

「豚のごはんやさん」をテーマに掲げた同店は、米国産「麦育ち四元豚 アイダホポーク」の魅力にほれ込み、その魅力をお客にも知ってもらうべく、同ブランドが持つ柔らかさでジューシーな美味しさを最大限に生かしたメニューを展開している。また、「ねぎし」と同様に、女性客1人でも気軽に利用でき、居心地よく食事ができるような空間も特長だ。同社執行役員営業本部長の中山剛氏に話を聞いた。
ねぎしフードサービス執行役員営業本部長・中山剛氏

ねぎしフードサービス執行役員営業本部長・中山剛氏

――店舗設立の経緯は

当社は牛たんを中心とした定食屋「ねぎし」を東京都内および横浜市に展開しています。

とくに当社はスタッフの人財教育に力を入れており、研修や勉強会などで集まれるよう本社のある新宿から電車で30分圏内にしか出店しない基本方針をとっています。81年に新宿・歌舞伎町に1号店をオープンして以来、店舗数を広げつつブランディングも奏功し、牛たん・とろろ・麦めしの組み合わせによるねぎし独自のスタイルが一般に広く根付いてきました。

こうしたなか、当社がさらに成長を遂げてゆくためには、どんな方向に向かうべきか、検討を重ねてきました。そこで、別の分野で売りとなる商品を替えて「ねぎし」と異なる業態を展開しようと決め、約1年前にプロジェクトチームを立ち上げ、検討してきました。

――なぜ豚肉を

当社の得意分野は牛たんです。しかも、「ねぎし」には定食屋というイメージが根付き、アルコールの販売が少なく9割のお客様が食事のみです。店舗によっては女性客が過半数を占め、20~40代の女性が一人で食事をされるケースも多く見受けられます。

新たな業態でも当社の得意分野を発揮して、男性だけでなく女性一人でも居心地が良く、美味しく食事を楽しむことができる空間を提供しようと考えました。そこで牛たんとは別の目玉となる商品をどうするか検討しました。

ちょうどその頃、「ねぎし」全店で新メニュー「とんて~きセット」を導入し、その商品を開発した際に、豚肉であれば、生産のこだわりと安心・安全、交配など独自性も発揮できるのではと考えました。そこで様々な国産および外国産の豚肉を比較検討した結果、「麦育ち四元豚アイダホポーク」に出会いました。

――「アイダホポークの」採用の決め手は

柔らかくてジューシー、脂に甘みがあり、口どけがまろやかでアッサリしており、定食のおかずとして満足感を得られる豚肉だと思います。

チルドでパーツ買いができ、規格も安定しているのも隠れた強みです。このほか、日本人のし好に合わせて4種の血統を交配した四元豚であること、麦中心の飼料で比較的長期肥育を行っていること、成長促進剤や抗生物質の不使用(肥育期間のみ)など数多くの優位性・特長がある豚肉です。我々も農場へ足を運んだのですが、辺り一面に広大な麦畑が広がり、四元豚という独自性を発揮しつつ、当社への安定供給の面でもちょうど良い農場規模で、家族経営で愛情をもって豚を育てているなど、非常に好感を受けました。

我々は、ねぎしの「とんて~きセット」の商品開発でこの「麦育ち四元豚アイダホポーク」に出会い、その美味しさ、商品の独自性にほれ込み、この新しいブランド豚を使って新業態を立ち上げることを決めました。まさに「ポーク ポーク ポーク ねぎポ」は、原料ありきの新業態といっても過言ではありません。

 〈女性客も気軽に利用 “豚のごはんやさん”がテーマ〉

――店舗づくりの工夫は

「豚のごはんやさん」がテーマであり、それにはメニューのラインアップや、(ボリュームや価格訴求よりも)お客様がゆっくりと食事を楽しんでいただける居心地の良い空間などもありますが、やはり「ねぎし」と同様に当社の強みでもある、女性一人でも安心して気軽に来店いただけるような店舗づくりを軸に置いています。「ねぎポ」のロゴについても、「ねぎし」が展開している豚肉の定食屋であることをイメージしました。

――お客様の評価は

おかげ様でお客様の評価も良く、とくに「しろかつ」が好評です。とんかつでも何か当社らしさのあるメニューができないかを考えた結果、肉のジューシーさ・柔らかさを楽しんでももらうため、一度、低温調理で調理した豚肉に特注のパン粉をつけて揚げるという、独特の調理法により、切り口は白っぽいものの、さっくりと軽い衣をまとい、驚くほど柔らかく、ジューシーに仕上げました。

好評の「しろかつ」

好評の「しろかつ」

「ねぎポ」では、豚肉をどのようにして美味しく召し上がってもらえるかを念頭にメニュー開発を行っており、そのほか、低温調理で下ごしらえした「とんて~き」や、ポーク100%のハンバーグ「ねぎポバーグ」など、「麦そだちアイダホポーク」の美味しさを100%引き出したメニューを5品用意しています。3月には「しょうが焼き」を、4月2日からは「角煮スパイシーカレー」を発売します。

当面はこの7品で多店舗化を目指していきますが、多店舗化を進めるうえで、「豚足スープ」などサイドメニューを含めて、この「麦育ちアイダホポーク」でどんなことができるのか非常に楽しみです。

現在、客単価は概ね1,150~1,200円ですが、美味しいものを提供したいというテーマからスタートしたので、今後、多店舗化を進めるうえでは、ランチで気軽に利用できる価格設定も目指したいと思っています。

――この間の苦労も多いのでは

お店のコンセプトが決まるまでは生みの苦しみがありましたが、その後、自分たちの得意分野で勝負してゆくことが決まり、店舗デザインなども「ねぎし」で協力してもらっているデザイナーと情報を共有し、女性も気軽に入り易く、明るくてキッチンが見える店づくりを進めてきました。

むしろ調理法について、いままで「ねぎし」が肉を焼くという技術が中心だったこともあり、オーブンの使用や、煮る・揚げるといった調理法は、正直言って我々の領域外にあったため苦労した部分でした。これから多店舗化を目指すと、職人さんを各店に配置するわけにもいかず、同時同卓で様々なラインアップの商品をお客様に提供するためにはどうすればよいか、もちろん味は絶対に落とすことはしたくなかったため、その商品開発の部分が一番苦労したところです。

当社の経営方針は量よりも原料や人財の質を高めてゆくことを重視しています。新業態「ねぎポ」において、豚肉に対して様々な調理法を通じて付加価値を高めてゆくという取組みは、今後の当社の進むべき方向性にとっても非常にプラスになると捉えています。

――今後の展開は

首都圏を中心に将来的には30店舗程度に拡大していきたいと考えています。

今はそのための、業態開発の段階であり、確りと足元を固め、美味しいものをいかにお客様に提供し、楽しんでもらえるかを追求しているところです。その意味でも、この有楽町はゼロ号店という位置づけで、今後、多店舗化していくうえで、価格設定や立地なども吟味する必要があり、本当の意味で1号店は当社がほんとうにやりたいお店を展開したいと考えています。

最後に、前述の通り私が農場へ訪問した際、疾病リスクを避けるために豚舎の周囲に見渡す限り麦畑が広がっており、そこで育った麦が飼料に使われ、村の集落も広大な麦畑の中心に存在するという、こうした村づくりにより外部からのリスクを避けるという考え方にとても感銘を受けました。

また、米国の豚肉生産者も日本市場を意識しながら、日本人好みの豚を生産したいという高い意欲があることも伝わりました。そうした経験を受け、我々エンドユーザーとしても、単に国産や外国産にとらわれることなく、商品原材料のもっと本質的な部分である安心・安全や美味しさ、こだわりの部分に目を向けて事業展開をしていきたいと考えています。

〈畜産日報 2018年4月18日付より〉

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