米国、カナダ、アイルランド3カ国を対象に、輸入牛肉の月齢引き上げに向け食品健康影響評価(リスク評価)を進めている食品安全委員会プリオン専門調査会(座長・眞鍋昇大阪国際大教授)が6日、東京・赤坂の同委員会会議室で開かれ、月齢引き上げに関する評価方針が決められた。

「生体牛のリスク」が大幅に低下した現状を踏まえ、〈1〉飼料規制などの牛へのBSE感染防止策〈2〉SRM(特定危険部位)除去やと畜前検査などの食肉処理――の仕組みが維持されているかどうかに絞って評価する。生体牛の(BSE感染)リスクとされる「11年以内」にBSE感染が確認されたかどうかだけでは、「人への健康」に影響を与えない、とする方向だ。これにより、11年以内のBSE感染が確認されたカナダ、アイルランドの2カ国について、この数年間でBSE感染牛が見つかったどうかは重視されず、当該感染が「飼料規制の有効性を破る」レベルなのか、あくまでも「単発」なのかを疫学的に判断し、リスク評価していくことになる。専門家で構成される起草委員は今後、3カ国の輸入牛肉について評価方針に照らした形での点検作業に入る。

食安委ではこれまで、リスク評価にあたって、〈1〉生体牛における感染実験データと牛群の感染状況〈2〉食肉におけるSRMと管理措置となる対象月齢〈3〉ヒトが変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染するリスク――の3段構えで審議してきた。特にBSE対策として飼料規制を重視してきたなか、生体牛のリスクの評価に重きを置いてきた点は否めない。だが、OIE(国際獣疫事務局)基準では、牛がBSEに感染するかどうかはあくまでも家畜疾病の問題であって、食品安全の問題ではない、という認識に立っている。「異常プリオンは筋肉(食肉)には移行しない」というのがOIEを含め国際的な定説となっているからだ。このため、OIEでは、BSEステータスによって、食肉のリスクは変わらない、と考えている。

今回の評価方針は、BSE問題をめぐる「国際標準」との整合性を意識したものといえる。あるBSE問題に詳しい有識者は「『ようやくか』という気持ちが強い。当初から、食安委でのリスク評価は生体リスクの話ではなく、あくまでも『食品健康影響評価なのだから』という議論はあった。だが、国内の健康と畜牛検査月齢を48カ月齢以上に、輸入牛肉を30カ月齢以下にそれぞれ引き上げた段階でも、消費者の反発を恐れ、『より慎重に』という言動の下、次のステップへと大きく踏み出すのが難しかった。その意味で、今回の評価方針の決定は画期的な出来事だ」と話している。

〈畜産日報 2018年6月7日付より〉

【関連記事】
・週刊誌の“評価書の一部を引用した報道”に対し、全体で確認をと反論/内閣府食品安全委員会
・ウルグアイ産牛肉、アルゼンチン・パタゴニア産牛肉の輸入解禁了承/農水省・食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会
・2017年家計調査、生鮮肉類への支出金額は1.6%増、購入数量1.0%増