死亡牛検査「96カ月以上」議論へ、仏全土の豚コレラ清浄性確認/家畜衛生部会

畜産日報 2018年6月11日付
農水省が事務局を務める食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会(部会長=松尾直人・ラルズ常務)が8日、東京・霞が関の同省会議室で開かれた。BSEに関する特定家畜伝染病防疫指針のうち、一般死亡牛の検査対象月齢を「96カ月齢以上」に引き上げる同省案が諮問され、プリオン病小委員会で技術的な議論を行うことが決まった。月齢が引き上げられると、現行6万~7万頭の年間検査頭数が6割減の約2万4,000頭まで減らすことができる。

一方、豚コレラの発生を理由に輸入禁止措置がとられているフランス北東部の3県について清浄性が確認された、として輸入再開を認めるリスク評価結果が報告された。これで日本政府は、同国の全土の清浄性を認める形となった。清浄性が認められたのはムールト・エ・モゼール、モゼール、バランの3県。

死亡牛の検査月齢引上げについて、眞鍋昇委員(大阪国際大教授)は、効率的な検査体制のあり方に理解を示しつつも「フランス(など)のように、完全飼料規制後に生まれた牛でもBSEが出ている。こうした感染牛を的確に(把握するための)検査ができる体制を維持する必要がある」と苦言を呈した。

今回の検査対象月齢引上げは、OIE(国際獣疫事務局)BSEステータスの「無視できるリスク」を維持するのに必要なサーベイランスポイント(10万頭に1頭のBSE感染牛を見つけられるだけの精度)を確保しつつも、検査の効率化を図るのがねらい。ステータスを維持するには7年間で15万ポイントが必要となる。これを1年当たりに換算すると2万1,429ポイントになる計算だ。

現在の検査対象月齢「48カ月齢以上」だと、1年当たり7万ポイント余りと目標値の3倍以上とかなり余裕がある。このため関係方面から、効率的な運用を求める声が上がっていた。一般死亡牛外の臨床疑い牛については全月齢、起立不能牛については48カ月齢以上を検査対象にする体制は維持される。

〈畜産日報 2018年6月11日付より〉

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